ITアウトソーシングに新たな流れを、アクセンチュアが提言

アクセンチュアは、ITインフラのアウトソーシングの新コンセプト「ワンストップアウトソーシング」を発表した。

» 2007年10月24日 08時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 アクセンチュアは10月23日、IDCと2006年に共同実施した世界780社のITインフラ動向調査結果と、アウトソーシングに関する新コンセプト「ワンストップアウトソーシング」を発表した。利用企業に最適なサービスを中立的なアウトソーサーが選択し、包括的に提供するサービスが求められるという。

 共同調査では、まずIT予算全体に占めるインフラ予算の比率について、日本企業が41%であるのに対し、米国と英国、フランス、ドイツ、イタリア企業の平均(調査では「グローバル平均」と定義、以下同)は32%となった。また、IT部門が管理しないIT関連予算の存在に関する質問では、「ある」との回答が日本で52%、グローバル平均では40%未満となり、日本企業のITインフラは高コスト体質にある点が浮き彫りになった。

IT予算における動向調査の結果(アクセンチュア資料から)

 これらの結果について、アクセンチュアでは業務や事業所ごとに異なるITインフラの構築と運用、また、メインフレームシステムへの依存度の高さから、日本企業のITインフラには全社を横断するITガバナンスが不足していると分析する。一方、ITアウトソーシングに対する期待では、IT戦略の立案および導入を行えるパートナーを求める日本企業の意識がグローバル平均を上回った。

 アウトソーシング統括エグゼクティブ・パートナーの中島康雄氏は、「従来のアウトソーシングは『単純業務の委託』というマイナスなイメージが強かったが、今では経営戦略上の重要なポイントに位置付ける企業もある」と説明した。

 アウトソーシングの形態は、メインフレーム全盛の時代にはシステムの構築から保守までを特定のベンダーに委託するフルアウトソーシングが主流だったが、汎用的なシステムの普及とともに製品やサービスごとに異なるベンダーへ委託するマルチアウトソーシングが拡大した。

アウトソーシングの変遷(アクセンチュア資料から)

 アウトソーシング本部シニアマネジャーの市川博久氏は、「フルアウトソーシングでは利用企業の負担が少ない一方、システムのブラックボックス化や利用企業の管理が行き届きにくいといったリスクが生じる。マルチアウトソーシングでは、製品やサービスの選択肢が広がるが、管理の煩雑さとコスト増を招く。そこでアウトソーシングに新たな形態が求められている」と述べた。

ワンストップアウトソーシングについて説明を行う中島氏(左)と市川氏

 同社が提唱するワンストップアウトソーシングは、特定の製品やサービスに偏らず、ユーザー企業にとって最適なものが選択されて、ワンストップで提供されるサービス。ワンストップアウトソーシングを提供する企業は、提供するサービスの品質を担保し、同時にコスト削減を実現するための「高度な管理能力とデリバリー能力が不可欠」と、市川氏は説明した。

 また市川氏は、ワンストップアウトソーシングを利用する企業は、アウトソーサーがITガバナンスの策定や変革を実行する能力を保有しているかどうか、柔軟なサービス設計とサービス管理能力を有するかどうか、生産性の高いサービスデリバリーモデルが確立されているか――これらの点を重視すべきだとアドバイスした。

 最後に中島氏は、「当社は1992年からITの変革をテーマにサービスを提供しており、これまで世界160社以上の企業にワンストップアウトソーシングを提供してきた」と話し、ITインフラの高コスト体質に課題を抱える企業に対して、ワンストップアウトソーシングの利用を呼びかけた。

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