可用性管理――SLAに定められたレベルを維持する初心者歓迎! ITIL連載講座(2/4 ページ)

» 2007年10月31日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

可用性管理の基本要素

 可用性管理の基本要素は「可用性」「信頼性」「保守性」「サービス性」「対障害弾力性」である。

 まず可用性とは、合意した時間、すなわちビジネスがITサービスを必要とした時間に、どれだけITサービスが利用できたか、ということである。すなわち、可用性の算出は次のように表せる。

・「実際にITサービスが提供された時間÷合意したサービス時間」

 また「実際にITサービスが提供された時間」とは「合意したサービス時間−ダウンタイム」である。式の分母が「合意したサービス時間」であることに注意してほしい。例えば業務時間外である深夜2時にシステムがダウンして、1時間後の午前3時に復旧した場合、ビジネスがその時間帯にITサービスを必要としていないのなら、可用性に影響は与えない。

 次に信頼性とは、単純にシステムの壊れにくさのことである。可用性と信頼性は厳密に言えば異なる概念である。例えば、朝9時から夕方の5時までの8時間の間に、(1)「システム停止が1回発生し、1時間停止した」場合と、(2)「システム停止は合計60回発生し、それぞれ1分間停止した」場合とでは、計算上の可用性は同じである。しかし、信頼性の面でいうと(1)のほうが高いことになる(ユーザの満足度も、どちらかというと(1)のほうが高いだろう。)

 保守性とは、障害が起こったITサービスを通常の状態に回復させる能力のことである。細かくは「障害の予期」「障害の検出」「障害の診断」「障害の解決」「障害からの復旧」「データとITサービスの復旧」に分けられる。

 サービス性とは、外部サプライヤが提供する可用性、信頼性、保守性の能力のことである。これらの内容は具体的にUC(請負契約)に盛り込まれることになる。

 対障害弾力性とは、障害が発生しても、継続して機能する能力のことである。機器を多重化したり、より壊れにくい部品に交換したりすることによって実現する。

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