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» 2007年10月31日 08時00分 公開

可用性管理――SLAに定められたレベルを維持する初心者歓迎! ITIL連載講座(1/4 ページ)

今回は、比較的分かりやすい「可用性管理」について、用語や考え方を中心に解説する。

[谷誠之,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「運用管理の過去・現在・未来」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


可用性管理プロセスの役割

 可用性管理の目的は、ビジネスの達成目標を満足するために、費用対効果が高く、継続した一定レベルの可用性を提供することである。基本的には、SLAに書かれた可用性レベルを維持し、合意したコストでそれを実現することにある。

 可用性が100%、ということは絶対にありえない。また、可用性を高めようとすればするほど、その費用や工数は多大なものになる。可用性管理とは、ビジネスに必要なITサービスの可用性と、それにかけるコストとのバランスを考えながら実現していくことが重要である。

 ちなみにITILでは「コスト削減」を重要視しているのではないことに注意してほしい。例えばサービスデスクやCMDBの仕組みなど、ITILを導入することによって一時的にコストが跳ね上がることもあり得る。ITILが目指しているのは「コストの最適化」である。コストをかけ過ぎるとビジネスを圧迫するし、コストを削減し過ぎると必要なITサービスを提供できなくなるかもしれない。ITの主役はビジネスである。ITの運用をする際にも、コスト計算をする場合にも、ビジネスが何を求めているか、ということを常に念頭に置く必要がある。

 可用性は常に顧客の視点で考える必要がある。可用性を考える上で重要な原則は、次の3つである。

1.可用性は、事業とユーザの満足の核である。

 ITサービスを用いてビジネスを遂行している顧客やユーザにとって、ITサービスの可用性の高さは、ITサービスへの満足そのものに多大な影響を与える。また、ビジネスの成否にも重要な要素である。可用性100%はあり得ないと書いたものの、いまや顧客やユーザはITサービスを「使えて当たり前」と認識している。

2.ものごとがうまくいかない場合でも、事業とユーザの満足を達成できる。

 「使えて当たり前」と思っているユーザと、可用性100%はあり得ないという現実とのギャップを埋めるのは非常に難しい。しかし、そのギャップは確実に存在する。重要なのは、ものごとがうまくいかない時にどのように対応するか、ということである。具体的にはあらかじめ対応策を決めておいて迅速に復旧に励むとか、代替案を用意しておくとか、サービスデスクの対応トレーニングをしっかり行っておくといったことが挙げられよう。システムがダウンしてもビジネスを停めないでおく方法や、顧客の満足度を高める方法は、いくらでもあるのだ。

3.ITサービスがどのように事業をサポートするかを理解して初めて、可用性を向上できる。

 うまくいかないすべての場合において対応策を用意するのでは、コストがいくらあっても足りない。ビジネスの中でITサービスがどのように用いられているのかを見極め、そこが壊れてしまえばビジネスに大きな影響を与えると考えられる「単一障害点(SPOF:Single Point Of Failuere)」を見つけ、そこに対して可用性を高める投資を行うことによって、費用対効果の高い可用性管理が可能である。

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