日本と検索が蜜月関係を築くために必要なこと次世代検索の行き先(1/2 ページ)

指数関数的に情報量が増える中、日本でも検索市場は盛り上がりを見せる。だが欧米諸国のまねをしていても検索をビジネスに生かすことはできない。日本企業は検索結果への責任と、技術力への信頼を持って検索と向き合う必要がある。

» 2007年11月06日 06時30分 公開
[藤村能光,ITmedia]

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 デジタル情報の量は増大し、われわれはメガやギガのみならずテラ、ペタバイト規模の情報を当たり前のように扱うようになった。それに応じて「SNSやSecond Lifeといったインターネット上の空間に、現実よりもリアルな自分を投影する」というように、人間自身に変化をもたらすといったことが起こっている。

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 「こういった状況を見ていると、あと2、3年もすればインターネット上で実体経済が生じるなど、情報に関するパラダイムシフトが起きるかもしれない」――ファスト サーチ&トランスファの徳末哲一代表取締役社長は、誰もが情報を発信できるようになった現在において、情報量が指数関数的に増加する“情報爆発”時代の現状と今後の展望をこのようにみる。

 これは10月31日に都内で開催されたフォーラム「検索が生む新しいビジネス」での一場面だ。当日は「企業力を高める情報の検索、活用、共有」をテーマにパネルディスカッションが行われた。そこでは、日本企業が検索とどのように向き合うべきかについて、今後の方向性が示された。

日本企業と検索のつきあい方

 徳末氏は、「これまでの(IT関連の)歴史の中で、検索ほど可能性を秘めた分野はない」と切り出した。

image 「40年前と今の体操を比べるとその違いは明らかだが、そのレベルとは桁の違う進化が検索の分野では起こる」と徳末氏

 ERPやRDBなどの構造化データを扱うだけでよかった20世紀の「情報石器時代」に比べ、全世界の人々が日々情報を発信する情報爆発時代には、情報全体の8〜9割を占める非構造化データを効率的に運用する必要がある。その状況下で、「キーワード検索はビジネスにとって必要条件であるが、十分条件にはならない」と同氏は指摘する。

企業は検索に責任を持つべし

 では企業はこの問題にどう対応していくべきか。徳末氏は「企業は検索に責任を持たなければならない」と続ける。

 キーワード検索は何十億もの情報を集めるのには適しているが、真に求める情報にたどり着くまでに時間がかかるため、限られた時間の中で目的を達成するビジネスシーンには適しているとはいえない。企業内では、任務遂行の手段とすべき検索が目的化している例が多く見られる。

 「企業が検索を使う場合、主に顧客と社員の2方向について考えなければならない。前者にはターゲティング、後者には社員の気持ちや考え方を反映させる必要がある。キーワード検索のように、顧客や社員に検索結果の責任を負わせるようではいけない」(徳末氏)

 SEO(Search Engine Optimization)やSEM(Search Engine Marketing)は、Googleのアルゴリズムをよく知っている人がWebサイトを最適化するもの。企業は自ら検索エンジンを使って、企業目的に沿った、ユーザーのことを考えた検索を提供できるかということに尽きる。「「検索のアルゴリズムを企業が持たないのは責任放棄ではないか。大胆に言うとGoogleに検索エンジンを任せていいのか」と問題を提起した。(徳末氏)

 では、顧客および社員が情報を有効に利用するにはどうすればいいのだろうか。徳末氏は「情報に付随するエンティティ(いつ、誰が、どこで、何をした)から分類した情報を、検索エンジンが提供する必要がある」とする。

 例えば“感情”を定量化して、検索結果として提供する技術の開発が進められている。「表示させる検索結果には、企業のマーケティングや戦略に反映させなければならない」(同氏)

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