あなたのブログは“誰が”書かせる――ブログマーケティングの行方オルタナブログ通信(1/2 ページ)

ネットのモラルを向上させるためには実名義務付けが必至? 実名公表は言論弾圧へとつながりかねない? その一方、政治家による問題発言の続出――いまやブログは、定着期から混迷期へ入ったのではないだろうか。オルタナティブ・ブロガーは、その奥にある真実をつまびらかにしていく。

» 2007年11月16日 12時34分 公開
[森川拓男,ITmedia]

ネットの実名公開の是非

 11月2日、日本テレビ系で放送された「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」という番組の中で、なかなか興味深いマニフェストがカンニング竹山氏より提案された。それは、「インターネット利用者に実名の公表を義務付けます」というもの。

 このマニフェスト、番組内では「賛成10、反対8」ということで可決された。そして、ケータイ、ワンセグ、データ放送を利用した一般視聴者からの投票でも、「賛成53%、反対47%」と賛成が過半数を制した。読者の皆さんは、この結果を見てどう思うだろうか。ぜひ考えてほしい問題だと思う。

 折田明子氏「Empowerment blog」実名を公開するのは恐いこと?は、この番組のことを2ちゃんねるで書き込まれたコメントをダイジェストにし、紹介されたWebページを参照したエントリーを投稿。ITmediaでも似たような視点の記事がランキングに上がった。

 インターネットに初めて接続した時、やってみることが多い行動の1つとして、「自分の名前を検索してみる」が挙げられるという。すると、同姓同名の別人についてたくさん表示されたり、逆に、明らかに自分のことしか検索ヒットしない人もいるだろう。折田氏が参照したページでも指摘されているが、ありふれた名前ならば同姓同名がたくさんいるために名前のみで個人を特定するのは難しい。しかし、珍しい名前だった場合には簡単に特定できてしまう可能性がある。

 確かに、匿名の発言と実名の発言では、重みが違ってくるだろう。しかし、ネットの実名公開を義務づけることは、不特定多数が容易にアクセスできる場としては行き過ぎだと考える。法に触れる犯罪者は、匿名であっても逮捕へと結びつく場合が多い。それに、匿名か実名かにかかわらず、悪意ある者は実行へと行動してしまうだろう。

 また、「名無し」など完全なる匿名は別としても、いわばハンドルネームやペンネームだって、もう1つの名前。責任というよりは、ネットにいちど流したものは、消えることがないとも考えられる。その事を心得ておけば、恥ずかしい書き込みなどは自然とできなくなるはずだ。

 従って、今やるべきことは、個人情報がひも付けられてしまうデメリットが大きい実名の義務化ではなく、ネット関連の法整備を進め、犯罪を抑制・防止していくことではないだろうか。そして、学校ではネットに関する教育を、技術面だけではなく、しっかりと行うことだ。実名義務化は、新たなる言論統制への道を開きかねない。そうならないためにも、まずはネット利用者が自浄能力を発揮すべき時なのかもしれない。

 規制されてからでは遅いのだから。

「初音ミク」関連が上位に

 「オルタナティブ・ブログ」は、150組近いオルタナティブ・ブロガーが、ITにまつわる話題などを日々、独自の視点から発信しているビジネスブログ・メディアである。この中から毎週、幾つか気になるキーワードをピックアップし、読者にナビゲーションする目的で連載しているのが、この「オルタナブログ通信」だ。読者が「オルタナティブ・ブログ」を読む際の参考にしてほしい。

 今回は、11月1日〜11月7日に投稿された180を超えるエントリーの中から、冒頭で触れた「ネットの実名公開」のほか、「政治家の発言」「ブロガーの効果」「ブログの限界」「ブログで禁煙」などのキーワードから、筆者の視点で取り上げさせていただいた。

11月1日〜11月7日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータス

 さてここでオルタナティブ・ブログの「見える化(可視化)」である、11月1日〜11月7日を「11月1週」とした過去8週間分のデータグラフを見ていただきたい。

 前回は久しぶりに上昇したものが、若干戻ったようにも見える。しかし、それでも総投稿数は10月2週と同じであり、それほど下がったわけではない。注目すべきは投稿されたブログ数で、それ自体は前回よりも増えているのだ。全体の投稿数が減ったのは、4つ以上投稿したブログが減ったことが大きいだろう。そのような意味で、次回はどういう結果になるのか、指針の1つとして注目したいと思う。

 また、吉川日出行氏「ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦」の連載企画[定点観測]実名ブログ界の動向 2007年10月版〜過剰な自意識が継続的な情報発信を生むが投稿されていた。ここでも、ここ最近の大量投稿者の存在をフューチャーしているほか、なかなか興味深い分析が書かれている。これは、冒頭で取り上げた「実名」とも結び付くものだ。また、オルタナティブ・ブログについて妹尾高史氏「抱き込め!ユーザー、巻き込め!デベロッパー」オルタナティブ・ブログは”普通”のブログか?というエントリーが投稿されている。これも併せて読んでもらえると、いろいろ見えてくるかと思う。

 ここで、10月29日〜11月4日の週間アクセスランキングから幾つか紹介しよう。

 今回は、1位の「初音ミク」のイラストの凄い点(安藤怜のロンドン灯)を始めとして、「初音ミク」関連のエントリーがベスト10内に集中した。ほかには、4位に初音ミクの妹にありがちなこと(CloseBox and OpenPod)、7位に初音ミクが問いかける、楽器と歌手の境界線(CloseBox and OpenPod)がランクインし、6位と8位にランクインした【連載企画】合法的音楽配信サイトを作ってみる(2)(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)【連載企画】合法的音楽配信サイトを作ってみる(1)(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)も関連の連載だ。また、3位のニコニコ動画とYouTubeもJASRACと契約か(栗原潔のテクノロジー時評Ver2)も、あながち「初音ミク」とつながりがないとは言えないタイトルだ。

 そのような中でも、IT以外のワイドショーネタが2位に入ったのも特徴である。名福餅か……見掛け倒しでなけりゃいいがな(一般システムエンジニアの刻苦勉励)だ。逆に、53年ぶりの日本一ということで幾つかのオルタナティブ・ブロガーも取り上げた中日ドラゴンズネタは、10位にドラゴンズ落合監督の凄さを見た...(ITコンシェルジュの Try ! & Error ?)として入っただけだった。

 それでは、今週のオルタナティブ・ブログで投稿された話題を幾つか見ていこう。

政治家の発言の重さ

 ここのところ、政治家の発言が物議を醸している。政治家というのは、言葉が商売道具の一つのはずなのに、どうもその重さを分かっていないのでは? というコメントが目立ち、責任のない発言がメディアによってクローズアップされがちなのも傾向だ。

 まず驚いたのは、現職で法務大臣の「友人の友人はアルカイダ」発言だろうか。永井孝尚氏「永井孝尚のMM21」私の知り合いの知り合いが、天皇陛下では、ユニークな比喩を使ってこのことを取り上げた。どうもこの大臣は発言の重要性を分かっていないようであり、この後も国会内で突然思い出を語り始めるなど、目が離せない。

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