MIJSが生き残った理由は「問題意識を共通化した結束の強さ」(2/2 ページ)

» 2007年11月20日 10時15分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
前のページへ 1|2       

スイートからベスト・オブ・ブリードへ

 一方、MIJSの技術部会長を務める梅田弘之システムインテグレータ代表取締役は、「適材適所という意味の『ベスト・オブ・ブリード』をキーワードに、日本におけるパッケージ利用比率の向上を目指す」と意気込む。

 多様化が求められる現代、もはや1社で販売管理から生産管理、会計、人事などの基幹業務をまとめて提供してきた時代は過ぎ、複数のベンダーから供給される特徴的なパッケージが利用される時代になっている。

画像 「特に共通インフラ機能SOA連携が重要」と強調するシステムインテグレータ代表取締役の梅田弘之氏

 「スイート(一枚岩)からベスト・オブ・ブリード(疎結合)へ、SOA(サービス指向アーキテクチャー)で個々の機能をコンポーネント化しようとするのが業界の常識になりつつある今、インタフェースの標準規格化が不可欠」という梅田氏は、MIJSの複数製品間連携に不可欠となる3つの標準規格の開発に言及した。

 その1つは、トランザクション連携に向けた製品間データ連携のための標準規格とそれに合わせた連携アダプタの開発。それにより、例えば製造管理パッケージから会計パッケージへと、n対nの相互連携を実現させるという。

 2つ目は、共通マスター連携に向けたマスターデータ連携のための標準規格と、同じく連携アダプタの開発だ。販売管理や生産管理のパッケージに存在する社員/部門/顧客などのデータが別々の構造で存在すると、社員の転属や顧客プロフィールの変更ごとに各パッケージのデータも変更する必要が生じる。共通マスター連携は、まずこれらのデータ構造をインターナル規格で標準化し、連携を実現しようというもの。

 そして3つ目は、横断的機能を実現するためアプリケーションから独立した共通インフラ機能の開発だ。梅田氏は、この共通機能SOA連携の重要性を強調する。会計や販売、生産、人事・給与などのパッケージが持つ共通のインフラ(帳票、ジョブ、分析、ログ、ワークフローなど)をパッケージの基本機能から切り離すことでモジュール化し、共通化(SOA化)することで、使い勝手やメンテナンスが効率化するという。

 「各パッケージ製品に標準規格対応の連携アダプタを用意することと並行し、そのアダプタ製作のためのドキュメント類も12月ごろに公開する予定」(梅田氏)

「B2B版楽天」を目指すMIJSのSaaSポータル

 また同日、10月に開設したMIJSバーチャル検証センターが公開された。十数台のサーバに16社19製品(11月19日現在)のパッケージをインストールし、前述のトランザクション連携やマスター連携、共通インフラ機能の検証をインターネット経由のリモートアクセスで実施する。

画像 公開されたMIJSバーチャル検証センター。トランザクション連携やマスター連携、共通インフラ機能の検証をリモートアクセスで実施する

 そして、今後SaaS(Software as a Service)の本格的な検証を開始するというMIJSは、連携規格を充実させるとともに、将来的にはB2Bの楽天ともいうべき「SaaSポータルサイト」の構築を視野に入れているという。

 「複数のアプリケーションを利用するSaaSは、データ連携がないと生産性が低下し、本来のメリットを享受できない。その点、競合製品も含め幅広い製品がオープンに参加するMIJSの連携規格は、そのままSaaSに適用できる」と梅田氏は自信を示す。MIJS以外の企業の製品とも連携させることで、ユーザーが自社のビジネスに応じて必要なパッケージを選択できるようにしたいとした。

関連キーワード

MIJS | SaaS | SOA | B2B | 海外進出 | ミドルウェア


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ