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» 2007年11月22日 07時00分 公開

ビジネスインテリジェンスの新潮流 〜パフォーマンス マネジメント〜:第3回 パフォーマンス マネジメントを支える、これからのBIの姿 (1/3)

今再び注目を集める「BI:ビジネスインテリジェンス」。情報を共有して企業の戦略を共通化することで、最適な活動が自立的に生まれてくる。こうした情報の伝達をスムーズに行うことが、本来のパフォーマンスマネジメントであり、BIのあるべき姿だ。

[米野宏明(マイクロソフト),ITmedia]

全社パフォーマンスをもたらす情報のバリューチェーンの設計

 前回パフォーマンスマネジメントの本質に触れたが、パフォーマンスマネジメント実現のための情報システムを考える際にも、当然この本質を踏まえる必要がある。

 情報システムの成否は、人間も含め、どの情報がどこを流れて企業価値に結びつくのか、という情報流通経路、「情報のバリューチェーン」ともいうべきものの設計次第だ。しょせん情報技術(IT)は、デジタルデータの格納、変換、転送のたった3つしかできない。企業価値を生み出すのは、情報をどのような形式で格納し、誰に渡し、誰がそこに付加価値をつけ(変換し)るのかという設計、すなわち「プロセス」である。情報技術はそのプロセス実現の手段、例えるなら道路や車である。目指す都市像と現状を踏まえて、渋滞の起きない道路を作り拡張しなければならないし、またそこを走る車に乗るドライバーは、自分の目的と力量に合わせた車種を選ばなければならない。目的地に安全かつ素早く到達するためには、道路の設計とともに、ドライバー自らの適宜適切な判断が必要だ。

 もちろん、パフォーマンスマネジメント実現のためのシステムも同じである。それぞれの従業員が成果を生み出すための最適な行動を自ら実践しつつ、組織全体でのパフォーマンスを最適化していくためには、組織の戦略やビジネスモデルおよび特性を踏まえた上で、従業員に対してどのような情報を与えるべきか、成果をどのように共有していくべきかといった、情報の経路と流量を総合的に考えなければならない。

企業の利益獲得と再投資のバリューチェーン

 事業会社であれば、何らかの方法で資本を調達、それを戦略に従って業務プロセス上に展開、顧客接点において収益を獲得し、分配後再投資を行っている。企業はますます激化する競争環境にさらされており、現場の対応スピードが競争力に占める割合において高くなっている。その現場のスピードをもたらすためには、業務プロセス品質の向上と戦略の的確な共有が必要だ。

 しかし、各種ITソリューションセミナーの講演などを見る限り、「見える化」の名の下に行われているのは上の図の右半分、つまり収益獲得状況の「実績管理」とそれに基づく「投資計画」へのフィードバックの話ばかりだ。本来のスタートラインであるべき左半分はないがしろにされ、実績を透明に管理することで現場のモチベーションが上がるなどという曲解がまかり通っている。モチベーションの高い現場では自律的な意思決定が生まれ、必然的に実績を含めた情報の透明性が求められているにすぎない。必要条件と十分条件をはき違えてはならない。

 パフォーマンスマネジメントシステムは実績管理システムではない。実績管理は、戦略の実践結果を確認するという一つの段階にすぎず、上の図が示すようなバリューチェーンを効率的に回すために、従業員やプロセス間でのコミュニケーション(情報伝達)を支えるのが、パフォーマンスマネジメントシステムの本来の役割だ。現在欠けている左側の要素を実現してこそ、初めて全体のサイクルが一つにつながるのである。ではここから、バリューチェーンの各ポイントにおいて求められる情報技術要素を挙げてみよう。

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