訪問者に「参加者意識」を持たせる展開を――ロッテの事例からモバイルサイト活用術(1/2 ページ)

モバイルサイトを利用したマーケティングでは、訪問者が「自分もサイトの活動に参加している」という意識を持てることが重要だという。ロッテのキャンペーンでは、この試みが行われた。

» 2007年11月27日 11時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

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 モバイルサイトを利用したキャンペーンなどのマーケティング活動は、携帯電話のさまざまな機能を活用し、サイト訪問者に「参加者意識」を持たせる展開が効果的であるという。ディーツーコミュニケーションズ主催の「MOBILE AD FORUM 2008」のパネルディスカッションでは、この展開を実践した事例としてロッテの「コアラのマーチ」キャンペーンが取り上げられた。

藤田明久ディーツーコミュニケーションズ代表取締役社長

 冒頭、ディーツーコミュニケーションズの藤田明久代表取締役社長は、キャンペーン運営者(企業など)と消費者が「エンゲージメント(密接な関係)」を築くことが重要だと述べた。モバイルサイトにおいては、キャンペーンの初期段階で賛同する消費者をどれだけ獲得できるかが成否を分ける1つのポイントになる。

 「最近では心理学の観点から、合理的なメッセージを発信するだけでなく、感情に訴えるメッセージも重要だと言われている」(藤田氏)。

 博報堂DYメディアパートナーズが行った世代別の携帯電話利用実態調査によれば、特に10〜20代はシーンに応じて携帯電話を利用する時間や、利用するコンテンツが異なる。また、クロスメディア(複数の媒体を連携させた訴求)も効果的であるという。

モバイルサイトでは4つのポイントを網羅することが重要だという

 藤田氏は、「モバイルサイトでライバルになるのは、他社よりも友人のブログやゲームなどコンテンツ。限られた利用シーンの中で訴求をうまく行うには携帯電話の機能を利用し、ユーザーと深い関係を築くことが大切だ」と話した。モバイルサイトのキャンペーンでは、「リアルタイム性」「情報価値の向上」「エンターテインメント性」「利便性の提供」の4つのポイントを踏まえることが重要だという。

4つのポイントを満たしたロッテ

 ロッテでは昨年10月〜今年7月、チョコレートスナック菓子「コアラのマーチ」のモバイルサイトでキャンペーンを実施した。コアラのマーチは1984年の販売開始以来、菓子の表面にあるコアラのユーモラスな表情が人気を集める。1980年代後半ごろからは特殊な表情のコアラを見つけると幸せになれるとのうわさ話も広まった。

 現在ではコアラの表情の種類は268種類になる。キャンペーンでは、商品購入者がコアラの表情を携帯電話のカメラで撮影して、キャンペーンサイトに画像を送信すると、表情に合わせた占い結果を伝える企画で行われた。サイトには購入者が商品に対する評価や話題、占い結果へのコメントなど投稿できる機能も用意され、購入者が参加者意識を持てる工夫が行われた。

ロッテ・アドの千葉秀起氏

 ロッテ・アド制作部第一担当の千葉秀起氏は、キャンペーンの目的について「コアラのマーチは歴史ある商品だが、モバイルサイトを通じて若い世代など商品に対する意識が薄い消費者層にアプローチしたかった」と述べた。

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