訪問者に「参加者意識」を持たせる展開を――ロッテの事例からモバイルサイト活用術(2/2 ページ)

» 2007年11月27日 11時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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 キャンペーンの目玉企画となる画像占いでは、テック・インデックスが開発した画像認識サービス「PicLin(ぴくリン)」を利用した。これにより、購入者から送信された画像を高い精度で識別し、的確な占い結果を表示させることができたという。

キャンペーンでは「口コミ」→「アクション」→「コラボレーション」のサイクルを構築

 また、キャンペーン当初は商品パッケージで告知するだけでなく、携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のゴッコにコミュニティを作り、キャンペーンをテーマにした話題で盛り上げ、バイラル(口コミ)展開も行った。

 千葉氏は、「占い結果の種類が豊富なことから、何度もカメラで撮影して送信をしてくれる購入者が多く、結果についての感想をサイトに投稿して情報を共有し合う仕組みが広がっていった」と話す。占い結果には、「気になる相手を探してみよう」といった文言で、キャンペーンサイト利用者の関心をさらに広げる工夫も取り入れた。一方でサイトのコンテンツは、20年以上続く商品イメージを損なわずに、10代の若者に受け入れられる表現のバランス感覚が求めれらたという。

 期間中のサイト訪問者の動向を見ると、1日の時間帯別アクセス数は正午前後や夜間に多く、「10代の学生が昼休みや夜の自由時間に利用したと予想され、ターゲット層を取り込めたようだ」と千葉氏。また、送信されながらも認識できなかった画像データを確認すると、人間や人形の顔を撮影したものが数多く見つかったという。「キャンペーンに魅力を感じてくれたようだった」(千葉氏)

 キャンペーン中は、ちょうど受験勉強シーズンとも重なったことから、占い結果に試験を応援するメッセージや合格祈願などの内容も期間限定で取り入れ、購入者が継続的にキャンペーンを楽しめるようにした。当初は4月のキャンペーン終了を予定していたが、サイトの利用状況が活発なことから7月まで延長した。なお、キャンペーンの告知は都合から4月で終了したが、5月は4月を超えるアクセス数を記録している。

サイト訪問者の様子。告知を取りやめた春以降も活発なサイト利用が見られた

 売上高は前年比101.2%となった。だが、キャンペーン実施の前年にコアラのマーチがテレビ番組で集中的に取り上げられた効果から近年まれに見る売り上げを記録していた。「テレビ効果で特需になったが、モバイルサイトのキャンペーンだけでもその特需を上回る結果を得られた」と千葉氏。

 ロッテの取り組みについて、藤田氏は「先に挙げた4つの要素を取り入れ、顧客の期待を裏切らずにさらに上を行く展開が効果的だったのだと思う。こうした展開は大がかりな企画を準備しなくても可能だが、顧客が楽しめる展開に気を配ることも大切」と指摘する。

 千葉氏は、「コミュニティーでの話題作りに、どの程度関与したらよいのかという課題も見つかり、今回の反省材料を次に生かしたい」と話した。

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