HPはBTOと呼ばれるソフトウェア分野を強化している。11月26日にスペイン・バルセロナで、データセンターの自動化ツールを発表。運用管理エリアの製品ポートフォリオの拡充している。
米Hewlett-Packard(HP)は11月26日、BTO(Business Technology Optimization)ソフトウェア製品として、データセンターの自動化ツール「HP Automated Operations 1.0」およびITサービスマネジメントツール「HP Service Manager 7.0」を発表した。
HPは近年、Mercury InteractiveやOpswareなどを買収し、BTO分野のソフトウェアポートフォリオの拡充を急いできた。BTOソフトウェアには、HPが従来から提供している運用管理ソフトウェアの「OpenView」をはじめ、一連の買収で手に入れた製品が含まれている。Mercury買収以来、ブランドも「HP Software」と改め、IT戦略から開発、運用管理といったITのライフサイクル全体をカバーするまでになった。
ワールドワイドのプレスを一堂に集めてスペイン・バルセロナで行われたプレスカンファレンスで、HPソフトウェア担当シニアバイスプレジデントのトム・ホーガン氏は「これほど幅広いソフトウェアポートフォリオはほかにはない」と胸を張る。HPの中でもBTOを含むソフトウェア分野が最も急成長しているとアピールした。
HPがBTOと呼ぶ分野を強化するのは、複雑化した企業のITシステムの管理は既に困難になっているからだ。ビジネスドライバーであるはずのITがコストやスピードの面でむしろ足かせとなる場合が出てきている。
ホーガン氏は「ITはビジネスを可能にし、新たなビジネスを生み出すようにもなった。しかし、企業のITはあらゆる分野でのデジタル化の波やコンプライアンス圧力など、目まぐるしく変わる市場の変化に追いついていない」と話す。
HPは、このITとビジネスの間にあるギャップを埋めるBTOという考え方で、その解決を図ろうとしている。競合となるIBMもこのエリアにあたる製品の拡充に余念がない。
「CIOやIT部門の仕事はハードになるばかりだ。ビジネスとITをブリッジすることで、これを助けなければいけない」と、ホーガン氏は言う。
HPでは、BTOソフトウェア群を12個の「Cneter」と呼ばれるソリューションカテゴリーへと整理・体系化している。今回発表したのは、運用管理のエリアにあたる製品となる。
これら製品は、ITの構成情報をすべて共通化された「ユニバーサルCMDB」に格納するアーキテクチャーへと進化しており、このデータベースを中心に、各運用管理ソフトが情報をやり取りして連携できるデータモデルを採用。また、通常はドキュメントを介して行われる変更管理などの運用プロセス間のワークフローも自動化できるようになったという。
新製品のAutomated Operations 1.0は、7月に買収したOpswareの製品を中心に、さまざまなITコンポーネントを単一のプラットフォーム上でプロビジョニングできるようにした製品。サーバやネットワーク、ストレージ、クライアントのプロビジョニングや設定、変更を自動化できるだけでなく、これらITシステムの構成要素の依存関係をビジネスの視点で可視化して管理できるのが特徴だ。
サービスデスクに当たる「HP Service Manager 7.0」は、Peregrineのテクノロジーを取り入れ、リクエスト管理やインシデント管理、問題管理、変更管理などITILが定義する6つの運用プロセスをカバーする柔軟なサービスデスクを可能にした。
さらに、ITスタッフの運用管理スキル向上を支援するために、最新のITIL v3に対応した各プロセスのベストプラクティスやトレーニングを提供するメニューも用意しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.