Excelを利用したデータ操作でエンドユーザーへの浸透を狙う「PerformancePoint Server 2007」が同社のBIイベントで発表された。
マイクロソフトは11月30日、東京・港区台場のホテルで同社のBI(ビジネスインテリジェンス)プラットフォームを紹介するイベント「BI Conference 2007 Autumn」を開催し、同社の新たな製品となる「Microsoft Office PerformancePoint Server 2007」を発表した。
同イベントは、企業ユーザーを対象に経営戦略、業務プロセス、現場活動のすべてにおいて柔軟かつ迅速な意思決定を行うための情報基盤構築の実現をテーマに、SQL ServerやExcelといった同社製品およびパートナーソリューションによるBI戦略が語られるもの。
ここで新たに発表されたMicrosoft Office PerformancePoint Server 2007(PPS)は、企業活動のPDCA(Plan Do Check Action)サイクルにおけるプランニング、業績モニタリング、分析をシームレスに行う、パフォーマンスマネジメントのためのアプリケーション。Excelをデータ入力のフロントエンドとして利用できるため、経営層はもとより実際の現場でデータを扱うエンドユーザーにもたやすく利用できることを目指して作られている。
PPSを発売するにあたっての背景を、同社執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏は次のように説明する。
昨今では膨大な量の情報が瞬時に流通し、誰でもこうした情報を手に入れることができるようになった。その結果、今までのように情報を持つ持たないで企業の勝敗は決定されなくなり、情報格差といった問題は過去のものとなった。それに代わって企業に求められるようになったのは、いかに情報を素早く入手してビジネス上の判断をスピーディーに行うかということだ。
いわば、情報をどれだけ速く価値に変えて企業の競争力としていくかが問われる時代になってきたといえる。では、そのために何が必要なのだろうか。
佐分利氏は、ずばり「人のパフォーマンス」がカギであると言う。企業におけるすべての人が情報から素早い意思決定を引き出せること、つまり全社で的確な意思決定が行われることで、ビジネス全体の活性化が図られるのだ。
PPSが実現するのは、こうした全社的な情報活用のスタイルである。企業の戦略を的確に現場レベルにまで伝え、経営層の意思決定と同じ方法で現場での日々の対応ができるという仕組みを目指している。
同社インフォメーションワーカービジネス本部の米野宏明エグゼクティブプロダクトマネージャは、特に現場のエンドユーザーに使ってもらうためにOffice Systemとの連携、特にアドイン形式を採用したことによるExcelとの親和性を重視した設計を強調した。
従来Excelで入力していたローカルデータをサーバベースに移行できることで、データの安全性を高めることができる。また、予算全体を調整した後の比例配分などもサーバ上で自動集計が行われ、付属のツールによって知識のないユーザーにも作成が可能なダッシュボードを利用して、リアルタイムに最新の状況を閲覧分析することもできるようになる。
米野氏によれば、すでに病院など多くの企業で早期導入が進んでいるという。また、PPSを中心に据えたソリューションを提供するパートナーも8社が発表された。
PPSは12月1日から発売される。参考価格はサーバが約264万円、クライアントアクセスライセンス(CAL)が約2万4000円となっている。
「100ユーザー程度で500〜600万円。競合するBIツールと比較すると低価格で提供できることも強み」(米野氏)
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