「もの言う立場の独立運営組織」――アバイアユーザー会のフエシュコCMO

米Avayaのユーザー会「InAAU」は、ベンダー系ユーザー会としては珍しく完全な自主運営の組織。このほど発足した日本支部も同様の運営を目指す。

» 2007年12月04日 06時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米Avayaのユーザー企業で組織される「International Alliance of Avaya Users(InAAU)」は1985年に組織され、現在は2500社以上の企業が参加する。参加企業の業種は、金融や医療、製造、教育を中心にさまざまで、Avayaの内線電話システムやコンタクトセンターシステムなどを導入・運用している。

 InAAUのチーフマーケティングオフィサー(CMO)を務める米William Paterson大学のパメラ・フエシュコテレコミュニケーションディレクターは、同会の特徴について「Avayaとは完全に独立した自主運営の組織。わたしたちの利益のために、ものを言える立場としてAvayaとの関係を構築しています」と話す。

InAAUのフエシュコCMO(右)と日本支部の木村会長

 主な活動内容は、年1回のユーザーカンファレンスのほか、Avaya製品の運用に関するWebセミナーなどの勉強会、ソーシャルネットワーキングサイトでのコミュニティやブログによる情報共有、メールマガジンの発行を行っている。会員サイトには会社のInAAU担当者のコンタクトリストが公開されており、製品の利用について課題を抱える企業が他社の担当者へ直接相談できる仕組みも構築。製品に関する情報は、Avayaから数多く同会に提供されているが、ユーザーからは活発に情報発信がなされているという。

 「企業担当者の役職は、IT技術者やシステムマネジャー、CIOと幅広く、経営的な課題から日常のシステム運用に関連する課題まで、さまざまな話題の情報交換が行われている」(フエシュコ氏)

 InAAUでは、Avayaに対して「Future Needs Process」と呼ばれる製品改善などの要望や意見の提出を行っている。ここでは、ユーザーから寄せられた要望がランキング化され、Avaya側に伝えられる。例えば旧AT&T時代に開発された企業向けPBX機器などは、同会が提出した要求の9割以上が反映され、機能の改善や向上がユーザーベースで図られてきたということだ。

日本ならではの活動を

 InAAUは今年11月、海外拠点としては初めての日本支部を発足させた。日本支部会長を務めるディー・エイチ・エル・ジャパンの木村真理子執行役員カスタマーサービス本部長氏は、「ユーザー企業が製品の機能や性能を十分に引き出し、投資効率をさらに高めていけるように盛り上げていきたい」と、日本支部の運営方針を話す。

 具体的な活動内容では、米国と同様にユーザーカンファレンスへの出席やセミナー開催、メールマガジンの発行、Webコミュニティーでの情報交流などを予定。さらにマネジメント育成プログラムを日本独自の活動として展開していく計画だという。

 「例えば、コンタクトセンターシステムには問い合わせ対応件数の少ないオペレーターへ優先的に振り分ける機能があります。オペレーターの給与は、対応回数や処理した問い合わせ内容の重要度を基にした成績で決まるケースが多く、人によっては成績が振るわずに離職する場合があります。システムを上手く運用できればこうした課題を改善できるため、こうした情報をユーザーが共有化できるようにしていきたいですね」と木村氏。

 今後は来年3月までにユーザー企業会員150社、パートナー企業会員20社の加入を目指す。また、来年3月末に米セントルイスで開催されるユーザーカンファレンスへ参加し、北米地区の会員以外に、欧州や南米の会員企業とも交流の幅を広げていくという。

 日本支部の運営は、組織化間もないこともあり、日本アバイアが支援しているが、木村氏は「最終的に米国と同様、ユーザーが独立自営する組織にしていきます」と話している。

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