BEAのチュアングCEO、故郷の地でGenesisを語るBEAWorld 2007 Shanghai Report

BEAWorld 2007 上海でBEAのチュアングCEOは、ダイナミック・ビジネス・アプリケーションの重要性、そしてそのプラットフォームを構築するためのGenesisについて力説した。

» 2007年12月12日 23時18分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 BEA Systemsは12月12日から13日にかけて、中国・上海のShanghai International Convention Centerで、テクノロジーカンファレンス「BEAWorld 2007 上海」を開催する。

初日はあいにくの空模様となったが、BEAの次の一手に注目する5000人もの参加者がひしめき合っていた

 同社にとって2004年以来2回目となる上海でのカンファレンス。あいにくの小雨が降りしきる初日、基調講演に登場したのは、アルフレッド・チュアングCEO。両親が上海出身というチュアングCEOのルーツを知る参加者は、故郷に錦を飾る英雄のがい旋を温かく迎えた。

チュアングCEO チュアングCEO。故郷での開催とあって、いろいろと話したいこともあったと思われるが、BEAを取り巻く最近の情勢を配慮し、個別の取材は実施されなかった

 「1998年にJavaの話をしたとき以来の興奮を感じている」とチュアング氏。Javaの登場が世界を大きく変えたように、マッシュアップに代表されるコンシューマー発のWeb2.0系技術がエンタープライズ分野とリンクし、無視できない影響を与える時代となった。

 「ビジネス環境の変化に迅速に対応する必要性がある中、もはや1年を掛けてビジネスプロセスを検討するような時代ではない。伝統的でビジネスプロセスがガチガチに事前定義されているパッケージビジネスアプリケーションで革新など無理な話なのだ。われわれがやろうとしているのは、エンタープライズアプリケーションの再定義である」

 BEAは新時代のエンタープライズアプリケーションを、コンポジットアプリケーションに見いだしている。しかも、これまでの典型的なものではなく、SOA上に構築され、ビジネス環境の変化や人間の問題にも柔軟に対応できる「ダイナミック・ビジネス・アプリケーション」が求められているのだとチュアング氏は強調する。

 外部から容易に利用可能なコンポジットアプリケーションを作成できるSOAの考えはそのままに、ライトウェイト言語で書かれたWebサービスすらもガバナンスが効く形でエンタープライズクラスのサービスとして取り込み、さらにSaaS(Software as a Service)モデルにも対応できるようなプラットフォームを構築することが企業にとって大きな意義があると説明した。

 このダイナミック・ビジネス・アプリケーションを実現するためのプラットフォームとなるのが、同社が「Genesis」と呼ぶものだ。「WebLogic」「AquaLogic」「Tuxedo」など同社の製品群を内包しつつ、ビジネスプロセスやサービスを柔軟かつ迅速に組み合わせるためのもので、2008年第1四半期以降、SaaSのためのコンテナ、PHPやRubyなどへの対応といった多くのGenesis対応機能(厳密にはBEA製品ファミリが目指すビジョンを具現化した呼び方なので、“対応”というのは正確ではないが)がBEA製品ファミリに実装されていくことになる。

プラットフォームとしては、緑色の機能が今後新たに追加されることになる

 「これははじまりに過ぎないし、SOAは終着点ではない。次の旅に皆さんとともに歩みたい」と聴衆に呼びかけ、ダイナミック・ビジネス・アプリケーションを実現するプラットフォームという新たなパラダイムへの理解を求めた。

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