メタボ対策にも有効、それがCOBITフレームワーク今日から学ぶCOBIT(3/3 ページ)

» 2007年12月14日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]
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3:コントロールベース

 プロセスは適切にコントロールされるべきである、という考え方である。COBITでは、アクティビティとコントロールとは明確に区別されている。野球選手と監督のようなものだろうか。野球の試合に勝つ、という共通の目標はあるものの、試合をするのは野球選手であり、その野球選手を適切にコントロールするのは監督の役割である。野球に詳しい知人に言わせれば「選手を生かすも殺すも監督次第」なんだそうである。

 さて一言でコントロールと言っても、何をコントロールするのか、どのようにコントロールできれば良しとするのかといったコントロール目標が明確になっている必要がある。COBITでは上述の34個のプロセス一つひとつに、コントロール目標が規定されている。

4:成果測定主導

 COBITにおいて重要なのは、正確な成果測定測であるとすでに述べた。プロセスがうまく回っているか、コントロールがうまく行われているかということはすべて測定されなければならない。

 同様に、企業のITガバナンスがどの程度成熟しているか、ということも測定されなければならない。COBITでは、これを「成熟度モデル」と呼んでいる。成熟度モデルはプロセスごとに存在しているが、一般には次のような5つの段階があると定義している。

0(不在)

 識別可能なプロセスが完全に欠落している。企業は、対応すべき問題が存在することすら認識していない。

1(初期/その場対応)

 企業は、対応が必要な問題の存在について認識している。ただし、標準化されたプロセスは存在せず、対応は個人的に、、または場合に応じて場当たり的に行われている。総合的な管理方法は体系化されていない。

2(再現性はあるが直感的)

 同じ仕事に携わる複数の要員において同等の手続が行われる段階にまで、プロセスが進歩している。標準的な手続に関する正式な研修や周知は行われておらず、実行責任は個人に委ねられている。個人の知識への依存度が高く、そのため、誤りが発生しやすい。

3(定められたプロセスがある)

 手続は標準化および文書化されており、研修により周知されている。ただし、このプロセスに従うかどうかの判断は個人に委ねられ、プロセスからの逸脱はほとんど発見されない。手続自体は、既存の実践基準を正式化しただけのものであり最適化されてはいない。

4(管理され、測定が可能である)

 手続の順守状況をモニタリング、測定でき、プロセスが効果的に機能していないと判断された場合に対処が可能である。プロセスの改善が常時図られており、優れた実践基準を提供している。自動化やツールの活用は、限定的または断片的に行われている。

5(最適化)

 継続的改善、および他社との比較による成熟度モデル化の結果、プロセスがベストプラクティスのレベルにまで最適化されている。ITは統合され、ワークフローが自動化されている。これにより品質と有効性を改善するツールが提供され、企業の迅速な環境適応に貢献している。

 成熟度モデルに関する詳細は、連載第6回目で述べることにしよう。

 さて、冒頭に述べた「5Kgやせる」という戦略であるが、12月も中旬となった現在でも、達成できていない。戦術が間違っているのか、戦略を達成しようとする鉄の意志に欠けているのか…。

"COBIT"とCOBITのロゴは、米国及びその他の国で登録された、ITガバナンス協会(IT Governance Institute 本部:米国イリノイ州:www.itgi.org)の商標(trademark)です。COBITの内容に関する記述は、ITガバナンス協会に著作権があります。本文中では、Copyright、TM、Rマーク等は省略しています。なお、COBIT及び関連文献はITGI Japan(日本ITガバナンス協会)のWebサイト(www.itgi.jp/download.html)を経由して入手することが出来ます。本連載の用字用語については、一部COBITにおいて一般的な表記を採用しています。

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