2008年は視界良好――ソリューションプロバイダーの展望(4/6 ページ)

» 2007年12月27日 17時29分 公開
[Pedro Pereira, Sara Driscoll,eWEEK]
eWEEK

サービスを第一に

 InterTech Computer ProductsのCEOであるマイク・ノボトニー氏は、全収入の4割を稼ぎ出すサービス事業に精力を傾けてきた成果として、2008年には収入および純益が、それぞれ15〜18%、20%ずつ増加すると予測している。

 「マネージドサービスを含む当社のプロフェッショナル向けサービス製品に注力してきた結果、新規顧客の実質増加率は上昇を続けている」と、ノボトニー氏は話す。現在は、同社が提供している全サービスの半分がマネージドサービスだという。

 だが、すべてのチャネル企業が、マネージドサービスを活用したビジネスチャンスを追い求めているわけではない。多くのVARは、サービスに関してはいまだ保守的で、革新的な考え方ができていないと、ボヴァ氏は説明した。

 クラコラ氏は、これまでとは異なるビジネスモデルやSLA(Service Level Agreement)への対応、さらには顧客側の不十分な受け入れ態勢といった要因のせいで、チャネル企業がマネージドサービスを扱うのは骨の折れる仕事になっていると述べている。「マネージドサービスは採算性を向上させる可能性を秘めているが、2008年は移行期から脱却することはできないだろう」(クラコラ氏)

 ソリューションプロバイダーのLogicalisでCEOを務めるイアン・クック氏も、従来のビジネスモデルにマネージドサービスを適切な形で組み入れるのは、VARにとってかなり難しいと話した。それでも、米国内の人件費は2004年以来最低水準になっている。すなわち、VARは管理スタッフを雇う必要のないITシステムを運用しているのであり、マネージドサービスは確実に広まっているのだ。「ITインフラストラクチャがよりいっそう複雑化する中で、企業はシステムの面倒を見てくれる自分たちの代わりを切実に求めている」(クック氏)

 サービスに注力するばかりでなく、企業合併や買収によって顧客を獲得しようともくろむプロバイダーも多い。Outlook 2008調査では、チャネル企業の6社に1社が2008年に他社を買収する可能性があると答え、そうした予定のある企業の62%が、買収の最優先事項として新規顧客の獲得を挙げた。そのほかには、新製品や技術力の追加、地理的範囲の拡大、既存サービスの強化などが買収の目的になりえるという。Logicalisも、2008年に買収を通して事業拡大を図ると公言している企業の1つだ。

 しかしクック氏は、こうしたアプローチは不安定だと考えている。買収による新規顧客の開拓がうまくいくのは、買収を試みるソリューションプロバイダーが、顧客に提供する価値のある何かを有している場合だけだというのである。「顧客に提供する商品を持っているなら、どのような方法でも構わないので、とにかく顧客にアピールすればよい。その商品にこだわる場合、買収は新しい分野の専門知識やスキルを手に入れるために行うべきだ」と、クック氏は言う。一方、クラコラ氏は、他社を買収する意義は大きく分けて3つあると話している。

 「1つ目が人材、2つ目が方法論および製品群、そして3つ目が顧客ベースだ」(クラコラ氏)

 プロバイダーは、買収した企業に顧客が必ず着いてくるものだと仮定してはいけないと、同氏は警鐘を鳴らした。買収はむしろ、一歩引いて情勢を見極めたり、契約相手の変更を検討する機会を顧客に与えるものだからである。経営陣が一新され、技術の仕様などが変わると、顧客は不安になり、ほかの選択肢を見つけたほうがよいのではと思ってしまうという。

 Timpanogos Technologiesのプレジデントであるキース・ブレイク氏は、買収戦略にはもっと別の問題もあると指摘している。「企業の統合は、これからも継続するトレンドだと言える。だが、より規模の小さい企業がイノベーションを起こすという可能性もまた、常に存続する」(ブレイク氏)

 「大企業は、買収を介して大量の顧客を手に入れ、効率を高めていくことができるだろう。しかしながら、小回りの利く会社のようにイノベーションを生み出すのは不可能だ」(ブレイク氏)

 ブレイク氏は、同氏の会社が教育分野で順調に実績を上げている小規模なソフトウェア開発企業であることを幸いに思い、大企業の社員にはなかなか得られない充足感をスタッフに約束していることを誇りに感じていると述べた。

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