2008年は視界良好――ソリューションプロバイダーの展望(6/6 ページ)

» 2007年12月27日 17時29分 公開
[Pedro Pereira, Sara Driscoll,eWEEK]
eWEEK
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確固たる楽観主義

 チャネル全体に見られる2008年への楽観的展望は、ブラッドリー氏がITチャネルに関して立てている予測とそうかけ離れてはいないという。それでもなお、チャネル業界の関係者は、新たなサービスがもたらすであろうビジネスチャンスや利益のことを考えて、目を輝かせている。ブラッドリー氏は、2008年はソリューションプロバイダーが販売サイクルのより長い高利潤契約を重視するため、金を稼ぐことはこれまで以上に難しくなるだろうと警鐘を鳴らしていた。

 ここ数年の間にテクノロジーの刷新に予算をつぎ込んだ顧客は、当然ながら同じような技術には金を出さなくなるので、チャネル企業は複数の技術を組み合わせ、新しいサービスやソリューションを創造して提供するしかないのである。「まったく新しい、しかも従来より長期にわたる販売プロセスになるだろう」(ブラッドリー氏)

 そうにもかかわらず、高利潤・高付加価値ビジネスの追求に照準を合わせたチャネル企業は、2008年における収益性の向上を強く信じて疑わない。「しばらく前から打ち込んできた地ならしも終わり、すべてを収穫する時期が来たと考えているのかもしれない」(ブラッドリー氏)

 D&Hのシュワブ氏によれば、チャネル経済の健全性は、技術投資を断続的に行う傾向のある中小企業に大きく左右されるという。「景気は弱含みだが、中小企業市場をはじめとする一部の分野には楽観的な雰囲気がかいま見える」(シュワブ氏)

 しかしソリューションプロバイダーは、顧客の資本支出にかげりが見え始めているとも言っている。これはつまり、予算が切りつめられるせいで、大量の製品販売が滞る可能性があることを意味する。スター氏も売れ行きの鈍化を懸念しており、部下にはなるべく多くの契約を締めておくよう指示したそうだ。

 とはいうものの、ジョージ・W・ブッシュ大統領がサブプライム救済法を成立させ、住宅の抵当流れを防ぐために、借り手が住宅ローンを借り換える道を開いたことで、多少は楽観的な販売予測を持てるようになったと、スター氏は述べている。金融セクターに属する同氏のクライアントの中には、早くも抵当危機の影響を受けたところもあるという。

 ところがOutlook 2008調査では、チャネル企業が今も変わらず、金融サービス業界を重要なターゲットの1つと考えているという結果が出た。現在の中核的な垂直市場に金融サービス業界を挙げた回答者の割合は、31%に上っている。さらに注目すべき点は、2008年に金融サービス業界に対する取り組みを強化するとした回答者が、強化しないとした回答者より59%も多かったことだ。

 Logicalisのクック氏は、それでもやはり、金融サービス市場は予算の緊縮化が続くだろうと推測している。「これから貸し渋りの影響が出てくるはずだ。銀行はすでに財布のひもを締めており、ベンダーもそれを感じ始めている」と、同氏は話す。だが、そのほかの垂直市場は成長の余地を残しているという。

 同調査では、回答者の38%が2008年に最も大きく伸びる分野としてプロフェッショナルサービス(医者、弁護士、建築家など)を挙げて、同分野がトップになった。以下は、IT/テレコム/エレクトロニクス/コンピュータ分野(32%)、政府関連分野(31%)、医療ケア分野(30%)と続いている。

 21%の回答者が建設市場に対する注力の度合いを下げるとしたのは、明らかに抵当危機による悪影響をにらんだ結果だと思われる。建設市場以外では、ユーティリティ、一般消費財、化学/鉱業、旅行レジャーといった垂直市場が、注力対象としての人気が低かった。

 もっとも、ソリューションプロバイダーが予想する利益成長率は平均すると30%に近く、2008年にかぎって言えば、ポジティブな展望がネガティブなそれをはるかに上回っている。

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