日本発の環境テクノロジーが世界を救う?米国とは異なる日本のグリーンIT事情(2/4 ページ)

» 2007年12月28日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

 従来のサイロ型でアプリケーションやITインフラが部分最適でしかなかったデータセンターリソースをプール化することで、アプリケーションの個別最適、ITインフラの全体最適が実現する。それにより、国内5施設のどこにどんなマシンが備えられ、何のアプリケーションが稼働しているのかを隠蔽するため、顧客はリソースの配分に腐心することなく、自社のビジネスに専念できることになる。

 しかし、次世代のデータセンターが乗り越えなければならないもうひとつの課題、消費電力の増大とそれに伴う熱処理の環境問題にはどのように対処するのだろうか。

ファシリティ・IT・プロセスを最適化

 データセンターにおける消費電力にはいくつかの変遷があった。20年ほど前のメインフレーム時代は、1ラックあたり1KVA程度だったものが、その後のUNIXワークステーションやIAサーバ時代には2KVA〜4KVAを投入する設計となった。

 その後、インターネットを利用したWebビジネスが発達し、不特定多数の顧客を相手にしたビジネスが拡大すると、ブレードサーバなどの高密度化サーバが普及し、現在では顧客からの要求は1ラックあたり10KVA以上の電力が必要となっている。

 しかも、1台のサーバで消費されている電力のうち、CPUで消費される電力は全体の3割程度しかなく、同様にデータセンターの電力コストの5〜6割が冷却装置などIT機器以外で消費されているのも事実である。

 今後、J-SOX対応によるデータのアーカイブや、NGN/P2P普及の柱となる動画情報の配信、RFIDの本格的導入などによって、対象データが飛躍的に増大することは明らかだ。それに対応するため、サーバの性能強化・高密度化が行われると、必要な電力も増大して発熱量も増え、それを冷却する空調設備も増強し、さらに電力が必要……といった負のスパイラルがIT業界全体を悩ませている。

 これからのデータセンターでは、CPUやHDDの消費電力削減と発熱量の低減や、高効率のサーバ・新設計ラックによる冷却効率の向上をはじめとして、データセンター全体での電力利用効率と冷却効率の向上、さらにはリソース/システムを利用するユーザー側での利用効率への理解も求められることになる。CTCでは、パートナー企業とともにすべての技術を動員し、ファシリティ、IT、プロセスをバランス良く最適化させることで、データセンターにおけるグリーンコンピューティングを実現させようとしている。

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