日本発の環境テクノロジーが世界を救う?米国とは異なる日本のグリーンIT事情(1/4 ページ)

グリーンITはCSR(企業の社会的責任)の域を超え、企業が社会と地球環境へのコミットメントとしての重要な活動となりつつある。特にサーバやデータセンターの電力消費と熱問題が指摘される中、先進的なグリーンデータセンターを建設する動きも始まっている。

» 2007年12月28日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「サーバ祭2007」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


グリーンITの矛先はデータセンターへ

 データセンタービジネスを取り巻く環境が大きく変ってきている。その要因には、顧客のビジネスが日々変化し、ITのマルチベンダー化やITリソースの分散、専門分野の細分化などによって、統一されたシステム運用管理手法の不在が問題となっていることがある。

 また、これまでストックビジネスと言われたデータセンターにも、SIサービスやマネージドサービスが要求されるようになったことに加え、要求されるデータ処理量の急増に応じて設備を増強し、処理能力の確保に対処するといった攻めの投資への転換が迫られるようになった。

 そして最大の変化は、データセンターにおける消費電力と熱の問題が急浮上し、地球温暖化の原因となる排出ガス削減など環境への対応が叫ばれるようになったことで、真っ先にグリーンITへの槍玉に挙げられたことだろう。

 老朽化している旧世代のデータセンターには、高集積・高機能化したサーバが要求する電力とそれらが排する熱の冷却のための電力がまかなえず、余剰スペースがあるにもかかわらず増設できないというジレンマにさいなまれているケースも多い。

IT基盤技術と仮想化技術

 そんな中、データセンター総床面積で国内第2位の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)では、IT基盤技術の最適化と仮想化技術による標準化、自動化によって次世代のデータセンターへの脱皮を図るとともに、新たなコンセプトによるグリーンデータセンター建設に着手していることを明らかにした。

 CTCが目指す次世代のデータセンターとは、ファシリティ面で災害対策やセキュリティ対策、省資源対策を進め、オペレーション面では、標準化や自動化とともに安定性、可視化の向上、自動化の次のステップとして自律化を進め、運用効率の最適化を実現するものとなる。

CTCの次世代データセンター(完成予想):東京都都市整備局の地位危険度測定調査でAAA評価の地区(東京都文京区内)に、2008年秋の竣工を目指して建設予定。

 さらに、単一筐体上で複数のアプリケーションを共有する「パーティショニング技術」や、複数サーバ間やデータセンター内のリソースをプール化して稼働効率を向上させる「リソースプール化技術」といった仮想化技術や、グリッドコンピューティング技術でサーバの水平統合など、運用基盤と密接に連携を取るシステムにするという。

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