メディアはあるけど、ドライブがない――。そんなわたしは「ドライブ難民」である。
「悲しき女子ヘルプデスク物語」(再編集版)が電子書籍になりました。主要電子書店で発売中です。
休暇中にシステムトラブルで呼び出されることもなく、年末年始を平和に過ごせた私。仕事始めの日も、大きな仕事があるわけでもなく、自席でのんびりとコーヒーを飲んでいた。至福のひと時である。
ところで私の机の上には、使われていないクリップが散らばっている。ヒマなときほどこういうところがこういう気になるのよね。引き出しにしまおうとしたとき、目に留まった1つの箱がある。年末の大掃除で整理しようか迷った挙げ句、見ぬ振りを決め込み引き出しの奥に戻して鍵をかけて帰宅してしまったものだ。この箱には、今年の干支でもある「あの有名なテーマパーク」のキャラクターが描かれている。箱自体はお気に入りなのだが、いやここ何年も開けていない。
この「開かずの箱」もとい「開けずの箱」の中には、業務上重要なデータをMOに入れて保管している。ではなぜ、ここ何年も開けていないのか?
だって、私のPC、MOドライブがないんですもの。
いや、昔は付いていたのである。わざわざライティングソフトを使わなければならないCD-Rに比べて使い勝手が良い上、データの保存量だって遜色ない。大事なファイルのバックアップ先は、決まってMO。純朴だった私は「いつかすべてのPCにMOドライブが搭載される時代がくる」――そう信じてやまなかった。
ところがある日、MOドライブが壊れてしまい、メディアが読めなくなった。ちょうどその頃、PCの入れ替えもあり、私のPCから愛しいMOドライブが姿を消した。とても残念だったし、この先バックアップはどうしよう? と困りもしたけれど、いざいなくなってしまうと女なんて冷たいものです。あっさりと、CD-RWに乗り換えてしまった。しかもその後、社内のファイルサーバも整備され、個人でバックアップする必要もなくなってしまった。
それから数年ですっかり見かけなくなったMOドライブ。会社の資産台帳を調べれば、どこかの部署に1台くらい転がっているかもしれない。しかし、今のところ必要ない。第一探すのが面倒くさい。MOの中のデータをどうしても読まなければならない事態が起こらければ、いまどき新しくMOドライブを購入する許可も下りるわけがない。というか、そんな日はもう来ない気がする。
そして再び、この「開けずの箱」は引き出しの奥底へ封印されることになった。私はマグカップとともに、至福のひと時に戻るのであった。
メディアはあるけど、ドライブが無い。もしこの先、MO内のデータが必要になったら、私はまさに「ドライブ難民」だなあ、などと考えつつ、思い出したエピソードを紹介したい。それは今日のようにリラックスタイムを過ごしていた去年の今頃のことである……。
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