10周年を迎えたオープンソース運動――ペレンス氏語る(2/2 ページ)

» 2008年02月13日 11時23分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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 ペレンス氏は、この10年間に起きた芳しくない出来事として、SCOによる訴訟や、ソフトウェア特許がフリーソフトウェアのアキレス腱だという信念をMicrosoftが抱いていることなどを挙げた。「SCOはおしまいになった。これで厄介払いができた。しかしコミュニティーの仲間の多くがSCOの申し立てによって損害を被った。これは決して償われないだろう」と同氏は語る。

 Microsoftの法務顧問のブラッド・スミス氏は昨年5月、フリー/オープンソース技術はMicrosoftの235件の特許を侵害しており、そのうちLinuxカーネルは42件、Linux GUIは65件、OpenOfficeスイートは45件、電子メールプログラムは15件、そのほかのフリー/オープンソースソフトウェアは68件の特許を侵害していると主張した。

 「このように、Microsoftは相変わらず問題である。同社はソフトウェアに対する古い考え方の砦であり、汚い企業戦術を駆使する保守派の典型だ」とペレンス氏は言う。

 ペレンス氏は、「Microsoftの現在の戦略は、われわれを金で毒することである。最近の例では、数社のLinuxディストリビューターと特許契約を交わした。これは、オープンソース開発者が利用するソフトウェアライセンスの精神に反するものであり、おそらく開発者がコードを寄贈しないように仕向けるのが目的だろう」と話す。だが、こういった特許を利用したFUD(恐れ、不安、疑念)攻撃は奏功していないようだ、と同氏は指摘する。

 Yahoo!を446億ドルで買収するというMicrosoftの狙いは、オープンソースコミュニティーやZimbraなどのオープンソース製品に対するYahoo!の取り組みを縮小させたり、損なったりする可能性があるが、「敗者を買収するという戦略は、潤沢な資金を大量に注ぎ込んだあげく、手元には敗者しか残っていないという結果になりかねない」とペレンス氏は語る。

 「このように、今後もオープンソースにはチャレンジが待ち受けている。デケードゼロの間にわれわれがどれだけ成長するのかまったく予想がつかなかったが、われわれは巨大な勢力を築き上げ、はるかに大きな課題を検討できる段階にまで到達した。さあ、われわれと一緒にデケードワンに入ろうではないか」(同氏)

 「これからの10年間は、ソフトウェアの特許をめぐって大幅なルール変更が予想され、世界をもう少し安全な場所にするために、オープンソース、プロプライエタリソフトウェア、コンテンツのプロバイダーはすべて同じ立場に立つだろう」とペレンス氏は語り、さらに、Microsoftは映画会社と音楽会社を買収し、コンテンツ分野への進出を強化するだろうと予測した。

 同氏は米eWEEKの取材で、「今日のデスクトップと将来の組み込みシステムとの境界が非常に曖昧になり、これらの組み込みシステムでLinuxが重要な役割を果たすようになるだろう」と語った。

 「また、オープンソースであるが、今日の技術をベースとしない次世代カーネルが出現するだろう」(ペレンス氏)

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