サステナビリティが開発プロセスを変えていく――CEOが語るAutodesk World Press Day 2008 Report

今年で2回目を迎えるAutodeskの全世界プレス向けイベント。基調講演ではカールCEOは、同社が注力すべき取り組みについて語った。

» 2008年02月13日 15時35分 公開
[伏見学,ITmedia]

 米Autodeskは2月12日、カリフォルニア州サンフランシスコで記者向けに同社の戦略やソリューションなどを紹介する「Autodesk World Press Day 2008」カンファレンスを開幕した。2007年から始まったWorld Press Dayは、今年新たにゲームや映像などの専門セクションである「Media & Entertainment」を加えたことで、全社的な規模のイベントとなった。

 オープニングのセッションでは、CEOのカール・バス氏が登場。2006年5月にCEOに就任したカール氏は、Autodeskに入社して10年間、数々の役職を歴任してきた、たたき上げである。就任前は最高業務執行責任者(COO)として、製品開発から販売・マーケティングに至るまで全体的な責任を担ってきた。

 Autodeskは、CADソフトウェア「AutoCAD」や3DCGソフトウェア「Autodesk 3ds Max」「Autodesk Maya」などを中心に、開発・デザイン向け製品を提供する。全世界のユーザー数は900万人を突破し、2008年度通期の売上高は約21億5000万ドル(2007年度が18億4000万ドル)を見込んでいる。カール氏は「今後5年間は、毎年15%の成長を遂げていく」と強い自信をのぞかせた。地域別では、中国やインドを中心とするアジアが最も高い成長をみせる。

「グローバル化が進むことで世界中の人材にリーチできる」と、カールCEOは市場のさらなる拡大を目指す 「グローバル化が進むことで世界中の人材にリーチできる」と、カールCEOは市場のさらなる拡大を目指す

3D技術による開発プロセスの効率化

 同社の最大の強みは、広範なビジネス領域である。AEC(建築、エンジニアリング、建設)、製造、エンターテインメント、政府機関、教育、テレコム、自動車、輸送機器など幅広い分野を網羅するソフトウェアを提供する。「さまざまな種類のソフトウェアを開発するが、基盤の技術は共通だ。ゲーム分野の技術をデザイン分野に、デザイン分野をゲーム分野にと、技術の融合を多分野で展開できる」(カール氏)という。

 2Dはもちろんのこと、3Dデザイン分野においても企業買収などによってマーケットを寡占しつつある同社がテーマとしているのが「サステナビリティ」である。サステナビリティとは、将来においても顧客に製品を供給し続けられる可能性を持っているという財務的な意味合いのほかに、環境や社会貢献も含んでいる。“Climate Change”というキーワードを掲げたカール氏は、エネルギーの効率的な作り方、ハイブリッドや輸送手段によるエネルギー消費の方法などが注目されていると語った。昨今はCO2を排出しないビルディングの設計も行われているという。

 カール氏は、「われわれが提供する3Dツールによって、実際に製品を作らなくてもアイデアをビジュアル化し、あたかも本物であるかのように検証や修正ができるようになった。これこそがサスティナブルなデザインだ」と強調した。これを実現することで、製品開発プロセスにかかる時間や経費を削減しより速い商品化が可能になると、同社の取るべき方向性を示した。

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