トレンドマイクロ、セキュリティサービスを大幅強化

トレンドマイクロは、2008年の法人向け事業戦略を発表。同社のラボが24時間体制で顧客のセキュリティ環境を監視するサービスを始める。

» 2008年02月15日 13時48分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 トレンドマイクロは2月15日、サービス強化を柱とする2008年の法人向け事業戦略を発表した。同社の地域ラボが24時間体制でセキュリティ状態を監視する「Expert on Guard」サービスを3月1日から開始する。

 冒頭、エバ・チェン社長兼CEOは「これまでの成長はコンテンツ保護に集中してきた結果であり、今後もこの姿勢を変えない」と話した。

チェン氏

 2007年の連結売上高は998億500万円となった。「2008年は売上高10億ドルを実現すべく、サービス分野に注力していく」(チェン氏)としている。

 2008年は、セキュリティ監視や未知の脅威に対する予防策強化、教育、コンサルティングのサービスを展開する計画。第一段として、世界各地のセキュリティラボが24時間体制で顧客企業のセキュリティ状態を監視する「Expert on Guard」サービスを導入する。

Expert on Guardサービスの概要

 同サービスでは、監視のほか、大規模感染を防ぐ予防策のアドバイス、四半期ごとの提供されるエンジニアによる監視の分析結果およびアドバイスのリポートなどで構成される。これらのメニューを標準化した「Standard」、緊急対策が必要な場合にウイルス駆除などのツールを迅速に提供するサービスが追加される「Premium」、監視時間を平日の9〜17時に限定した「Basic」の3つのコースをラインアップする。なお、Premiumを利用する場合は有償の「トレンドマイクロプレミアムサポート」の契約が必要になる。

 参考価格は1000〜1499クライアントの場合で、Standardが年間278万円、Premiumが同589万円、「Basic」が同198万円。Basicは従業員数300人前後以上の中小企業を主に対象としており、500クライアントの場合では同150万円前後になる見込みだ。

 同サービスを利用する場合、クライアント端末にエージェントソフトをインストールし、社内に設置される「Control Manager」でログを収集する。国内では東京と米国のリージョナルラボが24時間体制でログを分析し、脅威の監視とセキュリティ対策の改善方法をアドバイスする仕組みとなる。

大三川氏

 日本法人代表の大三川彰彦氏は、「アジアでは中国、台湾、マレーシアなど5カ所で422社32万クライアントが利用している。外部からの持ち込みPCを原因とした脅威にも備えられ、エンドポイント全体を保護する」と説明した。

 このほか、第2四半期以降に振る舞い検知技術を利用した「自己免疫型ソリューション」、顧客企業でのセキュリティ専門家の育成を支援する教育サービス、セキュリティ対策の導入コンサルティングサービスを展開する計画である。

 また、PC以外のデバイスにおけるセキュリティ対策サービスも強化する方針。「携帯電話やゲーム機、デジタルテレビなどのPC以外のネットワーク接続型デバイスの保護が重要になる」(大三川氏)

 昨年は、ソニーのPlayStation 3やオークマのNC旋盤装置にアンチウイルスソフトが採用された。2008年は、モバイル環境での業務端末としての利用が企業から注目されているスマートフォンのセキュリティ対策にも取り組む。企業向けのウイルスバスターコーポレートエディションでスマートフォンをサポートするという。

 大三川氏は、「最近では、USBメモリなどにウイルスが混入するケースが見つかるなど組み込み機器におけるセキュリティ対策の重要性が指摘されている。すでにデバイス利用者を保護する仕組みを整えつつあり、今後は製造段階でのウイルス混入を防ぐというような、セキュリティ対策も必要になるだろう」とITmediaに語った。

 昨年10月には、情報漏えい対策ベンダーの米Provillaを買収しており、情報漏えい対策ソリューションの展開も図っていくとしている。

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