MSとYahoo!、委任状争奪戦へ突入か?

専門家らによると、Microsoftは株式公開買い付けという手順を省略し、いきなり委任状争奪戦を仕掛ける可能性が高いという。

» 2008年02月22日 08時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 委任状勧誘の専門家によると、Yahoo!の取締役会の構成を考えれば、Microsoftは最初に株式公開買い付けを行わず、いきなり委任状争奪戦を仕掛けてYahoo!の取締役会の椅子の獲得を狙う可能性が高そうだ。

 こういった見方は、Microsoftのビル・ゲイツ会長が2月19日に、同社の提示価格は適正であるとの見解を改めて表明したことで浮上した。Yahoo!は2月11日、Microsoftが提示した446億ドルの買収提案を拒否した。これは1株当たり31ドルに相当し、1月31日時点におけるYahoo!の株価に62%のプレミアムを上乗せした額である。

 Microsoftにとっては、最初に敵対的買収を仕掛けるという手段もある。Wall Street JournalやNew York Timesなどの主要紙に株式公開買い付けの広告を出したり、Yahoo!の株主に直接、公開買い付けの案内を送付するのである。

 その場合には、Yahoo!は証券取引委員会の規定に従い、株式公開買い付けを正式に受諾するか拒否しなければならない。

 しかし委任状勧誘専門家によると、次のステップとしては委任状争奪戦の方が得策と考えられるときに、公開買い付けを正式に拒否されるという危険をMicrosoftが冒す可能性は低いという。

 10人のメンバーで構成されるYahoo!の取締役会は年次株主総会で全員の改選が行われるため、十分な数の株主の支持を獲得できるのであれば、Microsoftとっては取締役会を支配できる可能性が高い。ある委任状勧誘専門家(シリコンバレーに数社のクライアントを抱えているという理由で匿名希望)によると、このようなチャンスはそうそうないという。

 「期差任期制を取締役会に採用している企業が多く、その場合は取締役の椅子の一部しか獲得できない」と同専門家は話す。「期差任期取締役会であれば、何割かの所有権を確保するために株式公開買い付けを目指すのが得策かもしれないが、Microsoftが取締役会を支配できる可能性があるのに、そういったことにお金を注ぎ込む必要はない」。

 次の株主総会は6月に開催される見込みだが、Yahoo!の広報担当者がeWEEKに語ったところによると、まだ日程は決まっていないという。Microsoftは3月14日までにYahoo!の取締役候補者リストを提出すればよい。

 委任状争奪戦では、MicrosoftはYahoo!の株主を説得し、取締役改選時にYahoo!の現在の10人の取締役会メンバーの過半数を解任することを狙う。

 Yahoo!の取締役会を支配するには、Microsoftは少なくとも5人の取締役を送り込む必要がある。しかしYahoo!社内の抵抗を考えれば、これは容易ではなさそうだ。Yahoo!の共同創業者で取締役のジェリー・ヤンCEOは、Microsoftによる買収に強く反対しているといわれる。

 しかし一部の報道では、自身が創業に携わった企業に対するヤン氏の愛着心に対して、Yahoo!のロイ・ボストック会長が懸念を抱いているとも伝えられている。前出の委任状勧誘専門家によると、これは取締役会の内部対立につながる可能性があり、そうなればMicrosoftに有利に作用するという。

 また、別の委任状勧誘専門家(匿名希望)によると、Microsoftが同社の買収提案に動揺した投資家からYahoo!株の30〜40%ほど獲得することができれば、「Yahoo!が株主総会でMicrosoftに勝つのは非常に難しくなる」という。

 委任状勧誘企業Altman Groupのケン・アルトマン社長によると、Yahoo!が取締役会の支配を維持するために委任状争奪戦でMicrosoftに勝利するチャンスを手に入れるには、2つの主要なグループで株主の支持を獲得する必要があるという。

 1つは機関株主で、彼らはMicrosoftの提示価格はYahoo!の株式の真の価値を反映していないと考えている、とアルトマン氏は話す。もう1つは、個人名義で、あるいは証券会社を通じてYahoo!の株式を保有している小口株主のグループだという。

 「Microsoftが推薦するYahoo!取締役候補を支持するかどうかでYahoo!の機関株主の意見が割れた場合、小口株主の委任状を積極的に勧誘することが、委任状争奪戦の勝敗を左右する要因になるだろう」(アルトマン氏)

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