バーチャルな世界でビジネスをするには(3/4 ページ)

» 2008年03月13日 08時00分 公開
[Dave Greenfield,eWEEK]
eWEEK

 出張費の高騰や景気後退の懸念といった要因を考慮すると、仮想世界はいっそう魅力的だ。National Business Travel Association(NBTA)では、レンタカー費用とホテルの料金は今年、5〜7%増加し、航空運賃は6〜10%上昇する見込みだとしている。

 さらにNBTAによると、多くの出張業務担当者は2008年の出張経費を従来と同水準に維持する方針のようだ。これは、企業が研修と教育を実施するための新たな手段を考えなければならないことを意味するが、どちらも仮想世界が得意とする分野である。

 Unisfairでは、企業の従業員が展示会に行くのに必要な時間と経費をなくすために、Second Life内で仮想イベントを作成している。一方、Edusimは、研修用の仮想世界プラットフォーム「Croquet」を利用したインタラクティブなホワイトボードである。ミネソタ大学のCroquetプロジェクトでは、外国語のトレーニングに同技術を活用している。

 現実世界では大きな危険を伴うトレーニングも仮想世界に適した分野だ。例えば、Idaho Bioterrorism Awareness and Preparedness Programおよびアイダホ州立大学の農村健康管理研究所では、緊急時に対処するための訓練を参加者に危険を与えずに実施できる「Play2Train」環境を開発している。

 仮想世界に最も適した用途も忘れてはならない。設計と3Dモデリングの分野である。複雑なデータの集合であれ住宅の設計であれ、仮想世界は視覚化とコラボレーションという課題に取り組むのにふさわしい環境なのである。

仮想マーケットプレイス

 今日、仮想世界の市場ではさまざまなベンダーでにぎわっているが、企業は仮想世界に入る前にビジネス面での必然性を慎重に検討する必要がある。

 「“なぜ仮想世界なのか”という根本的な問いに答えなければならない」と指摘するのは、仮想世界コンサルティング企業Swivel Mediaのエリック・ハウザー社長だ。「通常のマーケティングプログラムと同じように、仮想世界における自社のプレゼンスの戦略を練る必要がある。技術スタッフの募集が目的であれ、オンラインビジネスの展開が目的であれ、“なぜ”という部分が理解できたら、そのほかのことはすべて、おのずと決まってくる」。

 これらの決定には、どのプラットフォームを使用するのかという問題も含まれる。プラットフォームプロバイダー各社は、ファイアウォールの内側で(あるいは個々の企業向けにホストされたサービスとして)仮想空間のレンダリングとメンテナンスを行うための3Dエンジンを提供している。主なプロバイダーとしては、OpenSimulatorプロジェクト、ActiveWorlds、3DXPlorer、Multiverse、Forterra Systems、Proton Media、Moove、Croquetなどがある。

 一般に、これらのプラットフォームのサーバハードウェア要求は低く、ベンダーによると、1台のサーバ上で多くの「世界」を動作させることができるという。しかしデスクトップ構成の要件はこれとは異なり、Second Lifeのように高いグラフィック性能が要求されるアプリケーションもある。このためIT担当者は仮想世界を配備する前に、ユーザーのPCが最低要件を満たしていることを確認する必要がある。

 仮想世界サービスでは、各社独自のプラットフォーム上にコミュニティーが構築される。Second Life、HipiHi、ActiveWorldsのデモサービス、Qwaqなど、企業にとって関心があると思われる仮想世界は、さまざまな目的に適合させることが可能だ。これらのサービスを利用すれば、企業は仮想世界でのプレゼンスを築き、それを自社独自の目的に活用することができる。

 仮想世界プラットフォームにプラグインするサービスを提供するプロバイダーもある。Second Life用のVoIP(Voice over IP)コンポーネントを提供するVivoxや、Second Life向けのモバイルクライアントを提供するVolleeなどがそうだ。

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