バーチャルな世界でビジネスをするには(1/4 ページ)

あなたの会社のCEOのアバターを公開するのはまだ早いかもしれないが、3Dインターネットの世界は多くの可能性を秘めている。

» 2008年03月13日 08時00分 公開
[Dave Greenfield,eWEEK]
eWEEK

 3Dインターネットをめぐる戦いが始まった。これは明日のオンライン経済をめぐる戦いにほかならない。

 IBMやLinden Labs(Second Lifeの開発企業)などの仮想世界推進企業は、オンラインゲーム技術をビジネスの要求に適合させようとしている。一方、GoogleやMicrosoftなどでは、マッピングサービスを活用して同様のゴールを目指している。これらの企業はいずれも、ビジネスを変革する可能性を秘めたビジョンを実現するために積極的な投資を行っている。

 直接的な利用価値が見当たらないという企業は、3Dインターネットに本格的な投資をするのは見合わせた方が賢明だろうが、調査と研究は進めておくべきだ――でないと後に取り残されるかもしれない。「3Dインターネットは、多くの業界プロセスを変革し、新たな収益源を創出し、生産性とブランド力を高める機会を提供する」と話すのは、IBMでデジタル融合を担当するコリン・パリス副社長だ。同氏はIBMの仮想世界を推進する役割を担っている。

メタバースに至る4つの道

 3D Web(メタバース)に通じる道は4つある。この考え方が最初に示されたのは2006年5月である。Accelerator Studies Foundationが地理空間エンジニアリング、ソーシャルネットワーキング、ビデオゲームデザインなどの広範な分野から指導的立場にある理論家を集め、3D Webの将来を予測させたのである。その成果が「Metaverse Roadmap」であり、そこで4つのタイプの仮想空間が示された。仮想世界、投影世界、拡張現実、ライフログである。

 同ロードマップによると、これら4つの道は、2つの系列の技術開発が交差するという形で互いに関連しているという。拡張/シミュレーションと外界/内界という系列である。拡張/シミュレーション系列は、物理世界を新しい能力によって拡張することや、現実をモデルとしてまったく新しい世界を創出すること(シミュレーション)に関連した技術を指す。外界/内界系列は、ユーザーを取り巻く世界(外界)、あるいはユーザーのアイデンティティや行動(内界)に主眼を置いた技術を意味する。

 Second Lifeなどの仮想世界は、作られた世界(シミュレーション)と個人の行動(内界)を組み合わせたものであるのに対し、投影世界は現実の世界(外界)とマッピング、モデリング、位置認識などの技術(シミュレーション)を融合するものである。

 Google EarthやMicrosoftのVirtual Earthなどは、地理調査、衛星画像、地上イメージを融合した高度な投影世界の代表例だといえる。

 Microsoftは昨年4月、リアルタイムデータを超高解像度地図にマッピングすることを目指した学術研究の公式スポンサーとなった。そのプロジェクトの1つ「City Capture」は、ジョージア工科大学で進められている。これは、数百あるいは数千の画像を元に数十億ピクセルという解像度の1枚のパノラマ画像を作成するという技術。ジョージア工科大学のコンピューティング学部のフランク・デラート准教授によると、現在の標準的なパノラマ画像は十数枚ほどの画像から作成されるという。

 本格的なマッピング処理を施した高解像度の投影世界は、B2B(企業間)およびB2C(企業消費者間)の広告、物流および検索に役立つ魅力的な空間を提供する。本社からリモートユーザーにフォトリアリスティックなレンダリング画像を提供すれば、コラボレーションを改善することができる。アバター技術を利用すれば、GPSセンサー、携帯電話あるいはRFID(無線ICタグ)センサーから位置情報を読み取ることにより、投影地図内にユーザーの位置を正確に表示することができる。そうなれば、ユーザーはこの仮想空間内で既存のツールを使ってコラボレートすることもできるかもしれない。

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