米国の学生には圧倒的な人気があるFacebook。投資家からも大きな関心を寄せられているこのSNSの持つ可能性は、「遅れてきたネットバブル」の一言では済ますことのできない可能性を見ることができる。
米国で昨年秋にマイクロソフトがwww.facebook.comというSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のベンチャー企業に2億4000万ドルの投資をして話題になった。注目されたのは、その会社の評価額がなんと150億ドルという驚くべき額であったこと。年間売上金額で評価額を割った比率、P/E比が約100倍と異例に高く、1999年のネットバブルの再来を感じさせるできごとであった。マイクロソフトがGoogleを意識した勇み足ではないかという意見もあるが、Facebookには従来とは違う面白さがある。
今年2月の全米の学生を対象にした「最も利用するサイト」の調査結果では、男子も女子もダントツでFacebookが1位となっている。ちなみにその次にESPN 、Youtube 、Googleなどが続いている。Facebookは元々大学生や卒業生のコミュニティーサイトとして始まったこともあり、学生には圧倒的な人気がある。最近米国内のインターネットカフェなどに行ったが、誰もかれもがFacebookやMyspaceを見ていて、人気の高さに改めて驚かされた。
Facebookのユーザー数はNeilsen Onlineによると、2006年末の時点で1300万人に達し、業界No.1であるMySpaceの5500万人に比べるとかなり小さいものの、2007年にかけて年間の増加率は72%で2200万人に急増している。MySpaceの9%の増加に比べるとその勢いの違いが分かる。
またAlexaでは、2006年末時点でFacebookへのアクセス数はMySpaceの5分の1に過ぎなかったのに2007年末にはほぼ同じレベルまで急増している。
Facebookが従来のSNSと大きく違う点はAPIを公開しているところだ。つまりWidgetアプリケーションをプラットフォーム化したことである。
Widgetとは情報やサービスを提供する小さな窓である。Yahoo-Widgetなどの特殊なソフトを必要とするタイプで馴染みが深い方も多いと思うが、FacebookのWidgetアプリケーションは、それらとは少し異なり通常のブラウザーだけで使えるタイプである。
APIを使うと、ユーザーの名前や住んでいる地域などのFacebookが持っているデータと、外部のデータを組み合わせてFacebook上でWidgetタイプのアプリを作ることができる。また、作られたアプリは簡単に全てのユーザーに公開できるようになる。
これらWidgetアプリは非常に簡単に作れるため、ちょっとしたアイデアを持った個人が作ってみたり、ゲームなど、元々ソフト資産を持っていた会社がWidget上で動くソフトとして公開することを始めるようになった。
2007春にFacebookがAPIを公開した直後から数カ月も経たない間に何千もの新しいWidgetアプリが次々に出現し、今では約2万種類のアプリケーションがあると推定されている。それに伴いFacebookのユーザー数や注目度も急増したのである。
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