コラム
» 2008年04月09日 04時30分 公開

Next Wave:「遅れてきたネットバブル」では済まされない――Facebookが示唆するトレンド (2/2)

[幾留浩一郎,ITmedia]
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あっという間に数百万のユーザーが

 面白い例としては、APIが公開された直後、ある大学生が数週間程度、研究感覚でWidgetアプリを作りFacebookに公開したところ、あっという間に何百万人ものユーザーがついた。すると、1つのアプリやWebサイトで、百万人ものユーザーを獲得することの困難さ、価値の高さを知っている人たちが大騒ぎを始めた。そしてテレビなどのメディアも注目した。他にも沢山のWidgetアプリが物凄い勢いで増殖し始めた。

 ベンチャーキャピタルも注目をし始め、出来たてほやほやで何の収入もない会社の時価総額を、何千万ドルもの評価に跳ね上げるほどの投資を行った。中には1千万ドルを越える金額の投資もあることには驚きを隠せない。さらに市場のWidgetアプリがどれだけの市場価値を持っているのかを推定し、公開するサイトも出現した。稚拙なWidgetアプリに冗談のような評価金額が並んでいてかつてのネットバブルの狂騒再来かと思わせる。

 これらの評価の正当性は正直信じ難いものがある。しかし、FacebookのAPI開放には、単にユーザーを沢山集める人気サービスとしてのSNSではなく、多数の情報や機能の提供者、その利用者を結び付けるプラットフォームに、という新しいトレンドが示唆されているところに重要なポイントがあると感じている。

 少し前までコンピュータは特別のものだった。IBMの創業者であるThomas Watson氏は当初コンピュータの市場性に関して「将来は世の中にコンピュータが5、6台は必要になると思う」と答えていた。またミニコンピュータという分野を切り開いたことで有名なDEC社の共同創業者であるKen Olson氏は「コンピュータが将来も家庭で必要になる理由なんて考えられないね」と言っていた。これらIT業界の偉人のそれほど遠い昔ではない話を思い起こすと、現在がいかに驚異的な状況であるのかを改めて認識させられる。

Webサイト自体とどう違うのか

 かつて大規模プロジェクトとして扱われていたアプリケーションの開発を、現在のような簡易的かつ、統一化したことは、IBMのPC規格公開とマイクロソフトのWindowsの大きな功績の1つと言っても過言ではないだろう。Windows上で簡単に高機能なアプリケーションが作れるようになったことは、多くの利用者の使用環境と同一であるため、すぐに沢山の人が利用できるようになり、様々なアプリケーションが大きく発展することにつながった。

 こうして推察していくと、アプリケーション発展の時代背景を読み取ってみても、Widgetアプリが持つ高い潜在的可能性は明瞭だと言えるのではないか。

 Webサイト自体との違いを考えると、Widgetは単に小さいWebページの部品に見えるが、違いはその再利用性と部品性にあると感じている。Webサイトは、情報や機能を特定の場所で利用できるようにしたものであるのに対し、Widgetは提供場所や組み合わせを限定しない「高い自由度」があるのだ。この自由度が市場に与えるインパクトは今後とも注視していきたい。

プロフィール

いくどめ・こういちろう AuriQ Systems, Inc. 社長兼CEO。リアルタイムWebアクセス解析システム「RTmetrics」をはじめとするソリューションで、企業のオンラインビジネスを支える。東京工業大学卒業後、新日本製鉄、Infogy社を経て2002年より現職。18年以上のIT産業におけるビジネス経験を持ち、現在、米国と日本を往復する毎日。


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