「内部統制報告制度に関する11の誤解」の使える部分を探してみたITIL Managerの視点から(1/4 ページ)

3月11日に金融庁が発表した「内部統制報告制度に関する11の誤解」の読み解き連載も、今回が最終回。内部統制への対応状況を見つめ直す上で、役立つ部分を探してみよう。

» 2008年04月17日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

本コンテンツは、全3回連載の最終回となります。第1回第2回を未読の方は、バックナンバーから読んでいただくことをお勧めします。


 前回に引き続き、3月11日に金融庁が発表した「『内部統制報告制度に関する11の誤解』等の公表について」というコメントについて読み解きたい。

5.問題があると罰則等の対象になるのか

[誤解] 内部統制報告書の評価結果に問題がある場合、上場廃止になったり、罰則の対象となる。

[実際] 内部統制に問題(重要な欠陥)があっても、それだけでは、上場廃止や金融商品取引法違反(罰則)の対象にはならない。

(具体例)

・「重要な欠陥」は上場廃止事由とはならない(東証・上場制度総合整備プログラム2007)。

・「重要な欠陥」があっても、それだけでは、金融商品取引法違反とはならず、罰則の対象にもならない。

罰則の対象となるのは、内部統制報告書の重要な事項について虚偽の記載をした場合(金融商品取引法197条の2)。


 「大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件」に代表されるように、社会に大きな影響を与えかねない財務的な虚偽申告をした場合は、上場廃止の可能性がある。ただ、内部統制に不備や欠陥があったとしても、それだけで上場廃止にはならないだろう(そもそも、これほどまでに初歩的な誤解をしている企業が、世の中に存在するのだろうか?)。

 企業にとっては、罰則よりも社会的な信用失墜のほうが恐ろしいハズだ。「あそこの会社は内部統制がうまくいってない」というウワサが、「あそこの会社のセキュリティはヤバい」という陰口になりかねないのだから。(もっともその陰口も、産地偽装や原料偽装といった現実の事件の前に、すっかりかすんでしまっているのだが)。

 プライバシーマークのように形骸化してしまうことはないと思うが(なんと言っても、お国の定めた法律なのだから……)、罰則に当てはまるような悪質なウソをつかない限り、多少は適当でも大丈夫、なんてことにならないよう願いたいものである。

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