「ドッグフード」もミッション、マイクロソフトIT部門の仕事とは?(2/2 ページ)

» 2008年04月18日 09時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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ユーザーとして見たWindows Server 2008

 Microsoftの社内だけで流通する言葉の1つに「ドッグフード」というものがある。これは、「作ったものが美味しいかどうか、まずは自分たちで試してみろ」という意味で、社外にβ版や評価版をリリースする以前に、社員自らが自社製品を試用する全社規模での取り組みになっている。

 例えば、Windows VistaではBeta1リリース前に約1万台強の端末を利用して社員が機能の確認やバグなどを確認した。その後は社内で試験台数を拡張させながら、外部からのフィードバックも加えて、製品化を進めていったという。ドッグフードで特に重要な役割を果たすのが、デュボア氏の所属するチームだ。

Windows Vista製品化までの社内展開の推移

 「IT部門と製品の開発部隊は密接な関係を築いている。彼らが開発した製品のファーストユーザーとなるのはわれわれであり、自社製品の品質や機能の向上に貢献したいという信念を持って、ベストプラクティスの開発へ積極的に携わっている」(デュボア氏)

 このほどリリースされたWindows Server 2008について、同氏は管理性の向上や仮想化機能「Hyper-V」に満足しているが、セキュリティ機能には不満を感じるという(Hyper-Vは一般向けには未提供)。

 「Windows Server 2003と比べ、安定性やクラスタリングのしやすさ、管理性の高さは非常に気に入った。Hyper-Vを試しているが非常に安定しており、これだけでも4000万ドルのコスト削減効果が見込める」(デュボア氏)

 一方、セキュリティ機能については、特に「NAP(Network Access Protection)」で煩雑な設定操作を要求されるのが難点だという。「Windows Server 2003よりも簡素化されたが、それでも苦労するユーザーがいるかもしれない。次のリリースではNAPが改良されるので、われわれからベストプラクティスを提供できるようにしていく」(同氏)

 また、6月からはクライアントOSの次期製品とされる「Windows 7」の試用を始める予定。このほか、デュボア氏はMicrosoft内でのユニファイドコミュニーション整備にも注力する。セキュリティ面では、情報セキュリティ対策を強化しつつ、社員が情報を積極的に利用できるようにしていくという。

 「もっとデータそのものにフォーカスして、安全に利用できる環境を製品部門と連携して実現したい」(デュボア氏)

「people ready business」の自社展開

 マイクロソフト執行役日本・アジア担当CIOの鈴木協一郎氏は、Microsoft技術をビジネスの活性化につなげる取り組みについて、次のように話す。

鈴木氏

 「われわれ自身が最初で最良の顧客事例になりたいと考えている。IT部門自らが“モルモット”になって、事例やノウハウを提供していくことが、外部顧客に価値を提供することにつながる」

 例えば、マイクロソフトでは経営陣から社員へのメッセージをWindows Vistaのサイドバーガジェットで配信するようにしている。これは、サイドバーガジェットを企業で活用できるようにするのが狙いで、このほかにもサイドバーガジェットで勤怠報告をする仕組みも構築しているという。

 鈴木氏は、「MicrosoftのIT部門の活動は社内向けが中心だが、日々の活動を積極的に外部顧客にも提供できるようにしていきたい」と話している。

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