会社側も指をくわえて見ているわけではない。例えば、世界最大のソフトウェア企業、マイクロソフトの日本法人は、日経ビジネスが明らかにした「日本の働きがいのある会社」ランキングで1位に選ばれた。
人事本部のHRプランニング&オペレーションでシニアマネジャーを務める波頭郁子氏は「グローバルで展開する人事制度“myMicrosoft”を2006年10月に導入後、離職率が下がりました」と話す。
myMicrosoftは、仕事のパフォーマンス管理、報酬、キャリア開発、マネジメントエクセレンス、職場の環境向上を柱に、従業員の満足度と働きやすさ向上を目指すもの。
「社員への要求がかなり大きい会社」が最も重視するのは対話だという。「新マネジャーの心得」「米国本社に転籍したい」など会社で働いていれば必ず出てくる希望や疑問について、上司と対話しながら話し合える環境の整備につとめている。
上司であるマネジャー、マネジャーの上司である「マネジャーオブマネジャー」の研修に力を入れている。外に飛び出そうとする人のケア、空いた穴を埋める仕事をしなくてはならないなど、マイクロソフトのマネジャーは重圧のかかる仕事だという。
「それをやるのがマネジャーという考え方が会社の仕組みとして組み込まれている」(波頭氏)
働きやすさ1位を獲得した要因は、管理者の仕事の質を高く維持する人事の仕組みにあるといえそうだ。
ちなみに、波頭さんが今個人的に楽しみにしているのは、全社的に実施する次回の健康診断だ。オフィスでいつでもバナナを食べられるようにしたことで、「残業する社員がカップラーメンなどを食べる機会が減った」からだ。具体的には「(γ-GTPなどの)肝機能の数値の改善に期待している」という。
人事担当者が社員の肝機能の数値まで心配してくれる会社は、やはり働きがいのある会社といえるのかもしれない。
仕事観、人生における優先順位などは十人十色だ。会社を辞める前に、働く上での自分なりの指針が何かをじっくりと考えておきたい。
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