あえて問いたい「あなたは期待されている人材か」――IT部門への期待値サバイバル方程式(2/2 ページ)

» 2008年04月18日 17時00分 公開
[増岡直二郎,ITmedia]
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身内話で終わらせていいのか

 CIOへの道は、見方によっては簡単であり、見方によっては困難である。

 多くの読者に不快な思いをさせるかもしれないが、あえて言おう。わたしのこれまでの経験から言えば、大方の企業では、情報システム部門は重要視されていない。従ってその人材も将来が期待されていないのが実態ではないか。「情報システム部門は重要な存在である」、「経営に絡む仕事が期待される」、「全社をふかんできる立場にあるのだからそれなりの役割を期待されている」とは、身内だけの話ではないのか。

 某大企業の情報システム本部長が、全社拠点の情報システム部門長に号令をかけた。「君たちは、ただデータを提供するだけでなく、データの改善に寄与しろ。棚卸資産を減らすアクションをかけ、受注アップの方策を考え出せ」と。本部長の気持ちは分かる。しかし、ラインは何の権限もない情報システム部門の遠吠えには見向きもしなかった。情報システム部門の自己満足でしかなかった。

 こうした状況を見れば、その総帥であるCIOが、多くの場合にその存在を重要視されないのは当然であろう。

 情報システム部門をいかに重要視させるか、その人材をいかに重用するように仕向けるか、CIOがトップから重要視され、全社に影響力を及ぼすにはどうすべきか、そのために情報システム部門の構成員は日頃どう努力すればいいのか。課題は尽きない。

 以上については、今後この連載で議論していきたいテーマの一部の例にしか過ぎない。企業人として、中間管理職として、あるいはCIOとしてのあり方について、ITを絡めながら随時取り上げていきたい。

プロフィール

ますおか・なおじろう 日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを歴任。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。現在は「nao IT研究所」代表として、執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)


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