シュワルツ氏によると、人々の認識とは異なり、Web 2.0企業にはスケーラブルなコンピューティングパワーが必要だという。
Sun Microsystemsのジョナサン・シュワルツCEOによると、ハイパフォーマンスコンピューティングは健在であり、ビジネスを拡大するために巨大なマルチプロセッサシステムを必要とする新タイプのWeb 2.0企業にSunの製品を売り込んでいくという。
大手ハイテク企業のCレベルの幹部(CEOやCIOなど)のブロガーとして最も有名なシュワルツ氏は4月25日、サンフランシスコで開催された「Web 2.0 Expo」において、このように語った。
システムベンダー各社がインターネットベースのコンピューティング(クラウドコンピューティング)に注目し、ますます競争が激化する市場の中でSunを前進させる任務を背負ったシュワルツ氏は、数台の1ウェイの「ピザボックス型」サーバしか企業は必要としていないという考え方を一蹴した。
「水平的に拡張するものはすべて、いずれ垂直的に拡張する」と同氏は語る。
シュワルツ氏によると、インターネットにフォーカスする企業は1ソケットサーバを使っているという認識が一般的だが、企業の平均的なノードは4ウェイプラットフォームであり、Sunの8コアのUltraSPARC T1およびT2プロセッサを4ウェイプラットフォーム上で動作させれば、大きなコンピューティングパワーを実現できるという。
「これは32ウェイコンピュータのようなものだ。Facebookのような企業のスタッフと話をすると、ソーシャルグラフの補間と照会でハイパフォーマンスコンピューティングが利用されるようになり、いきなりテラビットスイッチングが必要になってきたという。単にWebにサービスを提供するという段階から、Webに対して分析を行うという段階への興味深いシフトが起きているのだと思う」と同氏は話す。
キーノートのホスト役を務めたティム・オライリー氏は、シュワルツ氏のお気に入りの話題であるグリーンITについて同氏に質問した。SunのSMPシステムは膨大な電力を消費するが、同社では消費電力の問題で悩む企業向けに「Blackbox」というモバイルデータセンターを冷却問題のソリューションとして提供している。シュワルツ氏によると、Blackbox(以前はSun Modular Datacenterと呼ばれていた)は、IBMやHewlett-Packard、Dellなどのライバル企業に対する競争優位になる可能性があるという。
「Blackboxは、電力料金が高い東京などの都市で役立つかもしれない」と同氏は話す。東京では企業は1キロワット当たり30セントも払っており、これはサーバを運用するコストがサーバ本体のコストを上回ることを意味するという。
「車のガソリン代が車両価格を上回るようなものだ」と同氏。
シュワルツ氏はさらに、MySQLは「雑草のように成長する財務資産」であると称賛し、業界の関心がクラウドコンピューティングに向かう中、Sunは新興企業のLinuxデータベース資産の成功を拡大することができると述べた。
MySQLが1日当たり7万本もサーバやストレージデバイス用にダウンロードされていることに、シュワルツ氏は興奮しているという。「サーバとストレージはSunが得意とする分野だ」と同氏は指摘する。
「MySQL用のオンラインバックアップを提供するインフラを紹介する機会が、毎日7万回もあるのだ」とシュワルツ氏。
Sunは2カ月前に、スウェーデンの企業であるMySQLを買収する契約を結んだ。MySQLは、オープンソースソフトウェアビジネスの成功事例となった企業である。
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