SAP、次の一手は「戦略的アジリティ」SAPPHIRE 08 Orlando Report(2/3 ページ)

» 2008年05月07日 14時10分 公開
[浅井英二,ITmedia]

クローズドループで業績の最適化を実現

 企業が戦略的アジリティを獲得できるよう、SAPは「効率性」「インサイト」(洞察)、「(プロセスの)柔軟性」という3つの側面から支援するという。

効率性を追求しながら、戦略と業務執行のギャップをインサイトと柔軟なプロセスの組み替えで埋めることができるSAPのソリューション

 業務の現場は、SAPが提供する24の業界のベストプラクティスを活用し、自動化によって「効率性」を追求する。経営層は、ダッシュボードのKPI(主要業績指標)から問題を察知し、より詳細な分析によって「インサイト」を得る。戦略に照らし合わせ、ギャップがあれば、これを埋めるべく、新たな手を打つ。こうしたサイクル、つまりクローズドループによって「業績の最適化」を図る仕組みづくりと、新たな手を迅速に打てるように柔軟なビジネスプロセスの組み替えを可能にする仕組みづくりが、SAPの次なる取り組みだ。

 「企業には、戦略と業務執行のギャップを埋め、利益性を損なうことがないよう迅速に次々と手を打つことが求められる」とカガーマン氏。

 「効率性」に大きく貢献するのが、24の業界のベストプラクティスが詰め込まれたSAP Business Suiteだ。ビジネスネットワーク構築のチケットともなる。

 SAP Business Suiteは、ERP 6.0を皮切りに、PLM(Product Lifecycle Management)、SCM(Supply Chain Management)、SRM(Supplier Relationship Management)、およびCRM(Customer Relationship Management)といったすべてのビジネススイートが約束どおり、エンタープライズSOA対応となって出そろった。年内には「SAP Business Suite 7.0」としてすべてが同時リリースされ、これまではERPのみが可能だった「エンハンスメントパッケージ」による、安定性を犠牲にしない継続的な機能強化が、すべてのスイートで実現できるようになる。エンハンスメントパッケージは、ユーザーがインストールするかしないかを選択できるほか、個々の機能を有効化するのもユーザーに任されている。

 日本のユーザーからも大いに不評を買ってきたユーザーインタフェースもエンハンスメントパッケージによって段階的に改善されていくという。

コラボレーティブ機能でイノベーションを加速

 組織を越えて、人が協調しながらアドホックなプロセスを遂行しなければならないCollaborative Networkでは、SAP Business Suiteにはない、全く新しいコラボレーティブな機能が欠かせない。カガーマン氏は、「Collaborative Supplier Management」「Collaborative Product Design」、および「Collaborative Corporation」(グループ企業の協調)という3つのシナリオを例に挙げ、Business Suiteとは別立ての機能拡張として2009年にリリースする計画を明かした。

 「次なるイノベーションはここにある」とカガーマン氏。イノベーションをさらに加速する仕掛けだ。

 ちなみにエンハンスメントパッケージによる段階的な進化を「Enterprise SOA by Evolution」と呼ぶのに対して、初めからSOAアプローチで構築されたプロセス拡張ということで「Enterprise SOA by Design」と呼んでいる。

新しいイノベーションは、Business Suiteとは別立てで用意される

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