米フロリダ州オーランドで開催中のBlackBerryのカンファレンスには電子メールやグループウェア以外のソリューションを実現する多彩なアプリケーションが出展された。
米フロリダ州オーランドで開催中のカナダResearch In Motionの年次カンファレンス「Wireless Enterprise Symposium 2008」には、BlackBerryを業務活用するためのソリューションを提供する100社近い企業が出展した。従来、BlackBerryの用途は電子メールやグループウェア、インターネットの閲覧が中心だったが、この1年ほどでCRMや企業内コラボレーション、現場業務を支援する周辺機器との連携といった利用方法が急速に広がっている。
日本国内のサービスでは専用端末を用いるが、海外では他のプラットフォームを採用したスマートフォンでもBlackBerryサービスを利用できるクライアントソフト「BlackBerry Connect」が提供されている。
BlackBerry Connectは、一般ユーザーがPOP3などの電子メールをBlackberry端末で受信できるようにする「Internet Service」と、端末管理機能やデータの同期機能も備えたビジネスユーザー向けの「Enterprise Server」の2種類で構成される。SymbianとPalm、Windows Mobileの各プラットフォームに対応しており、NokiaやSony Ericsson、HTCなどの55機種のスマートフォンで利用できる。
IBMは、BlackBerryで利用できるコラボレーションツールを拡充し、新たにBlackBerry対応の「Lotus Connections」「Lotus Sametime」「Cognos 8 Go! Mobile」を披露した。
Lotus Connectionsでは、BlackBerryから「Profiles」「Dog-ear」「Communities」「Activities」「Blogs」の各機能を利用でき、モバイルを活用することで、社内外でのあらゆる場所での人材のコラボレーションを可能にする。
例えば、業務の現場でProfilesを使って情報を得ようとする場合、目的の人物を検索し、該当する人物に電子メールやSametimeのインスタントメッセージでノウハウの提供を求めることができる。Activitiesを使うと、リアルタイムにチームの作業進捗を管理できるなど、個々の社員の生産性を従来以上に高められると同社は説明している。
BlackBerryからはPC向けの情報とほぼ同じ内容の情報を参照できるようになっており、ソーシャルブックマークの活用や社内ブログの投稿、参照も自由にできるのが特徴だという。
Oracleは、BlackBerryからSiebel CRMのデータを利用できるネイティブアプリケーションを披露した。BlackBerryからは、案件管理、スケジュールや名刺データの共有、タスク管理、テキストリポートなどの機能を利用でき、Siebel上のデータをリアルタイムに利用できる。
ユーザーインタフェースは、現場の社員が直感的に操作できるようグラフィカルな仕様で開発した。同社のApplication Developer Frameworkを利用して、モバイル環境に適したアプリケーションのカスタマイズを容易にできるのが特徴だ。
Salesforce.comは、CRMアプリケーションのモバイル活用を紹介した。SalesforceとBlackBerryのモバイルクライアント間では、ビジネスデータをリアルタイムに同期できるようになっている。「オンデマンドアプリケーションのマーケットプレイス」であるApp ExchangeにはBlackBerry向けのカスタムアプリケーションが60種類以上提供されている。
同社によれば、2008年秋以降にはPCとモバイル機器の連携をさらに強め、ユーザーインタフェースをPCとモバイルで自由にカスタマイズできるようにする計画だという。9月以降にプロトタイプ版を提供し、BlackBerryのほかiPhoneにも対応を予定している。
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