セキュリティサービスを集約する――米Crossbeamが本格参入NGNの本格化を視野に

セキュリティアプライアンスプラットフォームのCrossbeamが日本市場に本格進出。トレンドマイクロら4社と提携した。

» 2008年05月30日 17時48分 公開
[ITmedia]

 セキュリティアプライアンスのプラットフォームを展開する米Crossbeam Systemsは5月30日、日本市場への本格進出を表明し、セキュリティベンダー4社との提携を発表した。

Crossbeamのセキュリティアプライアンス

 Crossbeamは、セキュリティアプライアンスのプラットフォームを展開し、海外では大規模企業や通信事業者、サービスプロバイダなど約700社へセキュリティソリューションとして提供する。1つのシャーシに複数のセキュリティサービスを統合し、ネットワークスイッチングやロードバランシング機能も提供する。これらを実現する独自の仮想化技術が特徴だという。

 会見したピート・フィオーレ社長兼CEOは、「数あるセキュリティアプライアンスの中で、われわれは拡張性と高可用性、セキュリティ各社との強力なパートナーシップが最大の強みだ。ユーザーは自社の環境に応じた各種サービスを1つの筐体に集約できる」と述べた。

 国内のパートナーシップでは、トレンドマイクロと日本IBM、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、ウェブセンス・ジャパンと協業する。各社からはWebセキュリティやIPS(不正侵入防止)、ファイアウォールといった各種企業向けのセキュリティサービスが提供される。各社のサービスをインストールしたブレードサーバをCrossbeamのシャーシ内に実装して運用するイメージになる。

 例えば「X80」と呼ばれるシャーシには最大14枚のブレードを実装できる。同シャーシは独自OS「XOS」を搭載し、10Gbpsを8ポート、1Gbpsを40ポートサポートする。シャーシは、仮想化とスイッチング、ロードバランシングを提供する「ネットワークプロセッサモジュール」と各種セキュリティプラットプラットフォームを実行する「アプリケーションモジュール」、アプリケーション制御モジュールで構成され、大規模ネットワーク環境においても、高度な安定性や無停止での保守管理を実現しているという。

アプライアンスプラットフォームの性能(左)とパートナー各社が提供するサービス内容

 共同設立者でもあるトゥループ・ワイルダー上級副社長は、「1時間当たり600万通のメール、1秒当たり2.5GbpsのWebトラフィックを処理しながら、同レベルの機器に比べて消費電力は半分程度。リプレース期間を平均2〜3年間から8〜10年間に伸ばすことができ、企業の投資効果を最大化できる」とメリットを説明した。

 日本市場での事業展開について、クロスビーム・システムズ・ジャパンの水本光昭社長は、通信事業者とサービスプロバイダ、金融や製造を中心とした大規模企業を対象顧客とし、「セキュリティプラットフォームの統合とブレード1枚を挿入するだけの優れた拡張性を訴求する」とコメント。今後は、ネットワークインテグレーターやシステムインテグレーターを中心に販路を開拓していくとしている。

 協業内容について、チェック・ポイントの杉山隆弘社長はIPSやファイアウォールを中心にサービスプロバイダ向けのライセンスを提供すると表明。「次世代ネットワークを通じて中小企業向けのサービスを展開するプロバイダらをサポートする」と話した。日本IBMはIPSサービスにフォーカスし、ユーザーの拡大を図る。ISS事業部の荒川朋美事業部長は、「大企業でも36%しか導入しておらず、中堅・中小を含めIPSの普及を促進したい」と述べた。

次世代ネットワークの普及を期待に新しいセキュリティソリューションの展開を表明した関係者ら

 トレンドマイクロは、海外で電子メールおよびWebセキュリティサービスを提供しており、大三川彰彦取締役は「常に最新のバージョンをユーザーに提供し、サポートを拡充していく」と述べた。ウェブセンスは大企業向けにWebセキュリティサービスを展開する。後藤聖治代表は、「インターネットや企業内のコラボレーション化が進み、業務環境や利用させるデバイスも多様化する。こうした環境を安全にする最新のセキュリティ対策を提供していく」と表明した。

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