究極の選択――落ちないシステムとすぐ直るシステムITIL Managerの視点から(3/3 ページ)

» 2008年06月04日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]
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MTTRとMTBFの比較

 では、このMTTRとMTBF、どっちが大事なのだろうか。

 もちろん一概には言えない。そのITシステムが支えるビジネスの内容や性格、重要度によっても変わってくる。かけられる予算だって、対策に大きな影響を与える。当然、どちらか一方にだけ対策をするわけにはいかない。バランスが大切である。

 ただ、どちらにより重きを置くか、ということは十分に考慮しておいたほうがよい。極端な例だが、図2を見ていただきたい。

図2:可用性と信頼性

 ケース1は、ある単位期間に障害が1回しか発生しなかったという例である。そのかわり、復旧に30分かかっている。一方ケース2は、単位期間内に障害が3回発生した。復旧は5分で済んでおり、システムが使えなかった時間の合計は15分だ。

 ケース1は障害が1回しか発生しなかったのだから、ケース2に比べてMTBFが高い、すなわち信頼性が高い、と言える。しかし障害の復旧には30分かかっている。いわばこの30分間は使えなかったわけである。ケース2は使えなかった時間が合計で15分しかない。ということは、ケース2のほうがケース1よりも狭義の意味での可用性が高い、と言えるだろう。

 さて、2つの選択肢しかないとするならば、どちらのシステムを採用するだろうか。あなたが普段管理しているシステムが支えているビジネスの内容や重要度に照らし合わせて考えていただきたい。その選択肢の結果が、あなたが今後そのシステムに対して行っていくべき可用性向上の方向性となる。

 次回は、可用性を高めるために先人たちが残した、いくつかの分析手法を紹介する。

谷 誠之(たに ともゆき)

IT技術教育、対人能力育成教育のスペシャリストとして約20年に渡り活動中。テクニカルエンジニア(システム管理)、MCSE、ITIL Manager、COBIT Foundation、話しことば協会認定講師、交流分析士1級などの資格や認定を持つ。なおITIL Manager有資格者は国内に約200名のみ。「ITと人材はビジネスの両輪である」が持論。ブログ→谷誠之の「カラスは白いかもしれない」


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