ビル・ゲイツ氏、TechEdで最後の基調講演

TechEdの基調講演は、ビル・ゲイツ氏にとっては会長として最後の講演となる。

» 2008年06月04日 15時11分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftのビル・ゲイツ氏は、会長としては最後になる基調講演で、開発者がユーザー体験を強化し、データ駆動型アプリケーションを構築し、大規模エンタープライズプロジェクトを管理し、クラウドコンピューティング、モデリング、自然言語プログラミングなどの新しいトレンドを活用するための新技術を発表する(訳注:この記事は基調講演前に掲載された)。

 ゲイツ氏は6月3日、Microsoft TechEd Developerイベントで基調講演を行う。Microsoft開発者部門の上級副社長S・“ソーマ”・ソマセガー氏などの幹部や技術者とともに、ゲイツ氏は、リッチインターネットアプリケーションプラットフォーム「Silverlight」の新しいβ版、IBMとのIBM DB2に関する技術協力、コードネームで「Velocity」と呼ばれる分散型メモリ内アプリケーションキャッシュプラットフォームの立ち上げを発表する。

 同氏はまた、「.NETを知る開発者が、新しく興味深い方法でツールセットを使えるようにする方法」についても語ると、Microsoftのアプリケーションプラットフォーム部門ジェネラルマネジャー、ジョナサン・ペレラ氏は語る。

 ゲイツ氏は、.NETベースのメディア体験とリッチな双方向アプリケーションをWebで配信するためのクロスブラウザ、クロスプラットフォーム、クロスデバイスのプラグインSilverlight 2 β2を発表する。またMicrosoftは、同技術の「Go Live」商用ライセンスも提供する。同技術は米NBC Universalが構築している北京五輪サイトで採用される予定だ。さらに、開発者がSilverlightをフルに活用できるよう、Microsoftは「Expression Blend 2.5 June 2008 Preview」とVisual Studio 2008向けのSilverlight Tools β2をリリースする。

 「Go Liveライセンスで、(Silverlight 2 β2に)製品レベルのサポートを提供できることを発表する」(ペレラ氏)

 ゲイツ氏はまた、さまざまなデータソースに頻繁にアクセスする必要があるスケーラブルな高性能アプリケーションの開発を容易にするVelocityの初のCTP(Technology Community Preview)を発表する。大規模クラスタを、データ可用性が高い単一のキャッシュにシームレスに統合できるとペレラ氏。

 「われわれが解決しようとしている問題は、パフォーマンスのために必要な情報をデータベースからどうやって取り出すかだ」(同氏)

 IBMとの提携は、異種混在環境で働くチームのアプリケーション開発を容易にするとみられる。IBMとMicrosoftは協力して、IBM DB2を「Visual Studio Team System Database Edition」に統合する。

 「これにより、DB2スキーマのオフライン管理とDB2スキーマ定義のバージョンコントロールが可能になる」(ペレラ氏)

 さらに、ゲイツ氏は新しいパートナーと、アプリケーション、サービス、デバイスのコラボレーションとオフライン同期を実現する同期化プラットフォーム「Microsoft Sync Framework」の新しいCTPを発表する。新しいパートナーは、写真共有サイトのSmugMug、カメラ付き携帯から写真へのアクセスを容易にするキャリア向けインフラを提供するOntelaなど。Windows Mobile向けのSync Framework CTPは第3四半期にリリースされる。これはFeedSyncオープンプロトコルフォーマットをサポートする。

 Microsoftはまた、モデリングへの取り組みの前進も示す。コードネーム「Oslo」は、Microsoftのモデル駆動型の開発プラットフォームで、開発者が宣言型プログラミングのポテンシャルを実現する手助けをすることにフォーカスしている。これはVisual Studio、System Center、BizTalk Serverの将来版で採用される。Osloはビジュアルモデリングとコンポジションのツール、基本的なアプリケーションメタデータ管理リポジトリ、モデルとツール間の相互運用とドメイン固有のモデリング記法を可能にする新しい宣言型モデリング言語を含む。

 「モデリング言語を進歩させる方法について、顧客らと協力している」(ペレラ氏)

 Microsoftはまた、Windows SharePoint Services 3.0 v1.2向けのVisual Studio 2008拡張機能の新バージョンも立ち上げる。これにより、開発者はVisual Studio 2008を使って、簡易化された開発環境を提供することで、SharePoint ServicesとOffice SharePoint Serverの価値を広げることができると同氏は言う。

 同社はInternet Explorer(IE)8のβ2を8月に20言語でリリースすることも明らかにする。IE 8はMicrosoftの次期版ブラウザで、β1では標準サポートを大幅に改善し、ユーザー体験を強化した開発者プラットフォームを提供する。β1は現在提供中で、Web開発者とデザイナーが消費者にWebページを超えたWeb体験を提供する手助けをすることにフォーカスしている。

 また基調講演で、ゲイツ氏はMicrosoftの33年の歴史を振り返り、今後の予測を示す見込みだ。

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