Microsoftの仮想化技術Hyper-Vは、当初予定よりも早くリリースされそうだ。
米Microsoftはオンプレミス(自社運用)型ソフト企業から、サービス、互換性、相互運用性を推進する企業へと進化するための試みを続けている。
だからと言って、Microsoftが中核事業から離れているわけではないと、同社のサーバ&ツール部門上級副社長ボブ・マグリア氏は6月10日、Tech・Edカンファレンスの基調講演で語った。同社はパッケージソフト製品の革新を積極的に続けると同氏は言う。
だが同社は、テクノロジーを柔軟で使いやすく、安価にすることを目指して5年前に始めたDynamic IT構想も強化を続ける。これは同社の全体的な事業戦略の重要な部分だ。
「テクノロジーは皆さんのビジネスの変革を支援できる」とマグリア氏は約1万人の聴衆に向けて語った。目指すのは、テクノロジーに費やされる時間、労力、費用を減らして、IT専門家が企業のビジネス推進にもっと力を入れられるようにすることだと同氏は語る。
一連のユーザーインタビューとデモを通じて、同氏とほかのMicrosoft担当者は、準備中の新製品や強化版の製品を披露した。その中には、新しい仮想化ソフト・サービスもあった。
同氏はまた、登場が待たれているHyper-Vが、間もなくリリースできる段階になると語った。具体的なリリース日は明らかにしなかったが、約束の8月初旬より早くなるとしている。Microsoftと一部顧客は、2月にWindows Server 2008と一緒にリリースされたHyper-Vのβ版を本番環境で使っているとも同氏は述べた。同製品のリリース候補(RC)は約1カ月前に公開された。
同氏はまた、Hyper-Vは性能テストでVMware ESXを超えたと話した。
Microsoftのデモの中には、β公開されている「System Center Virtual Mashine Manager 2008」の機能に関するものもあった。同ソフトはMicrosoftベースの仮想環境だけでなくVMware仮想マシンも管理し、IT管理者が物理サーバ間で仮想マシンを迅速に移動できるQuick Migrationや、ライブ仮想マシンの移行を可能にするVMwareのVMotionに似た技術などの機能を備える。Quick Migrationではできないライブ移行はVirtual Machine Managerの将来版に搭載されるとマグリア氏は言う。
あるブロガーは、Microsoftの仮想化の取り組みに感銘を受けたとしながらも、同社のメッセージとほかの仮想化企業に違いはあるのだろうかと疑問を呈している。
「ボブ(マグリア氏)は、Microsoftのさまざまな仮想化のタイプが『動的なデータセンター』を可能にすると考えている」とスコット・ロウ氏は基調講演の間にブログに記した。「もちろん、これはほとんどの仮想化ベンダーが採用してきた実証済みのビジョンだ」
マグリア氏と、Windowsプロダクトマネジャーのジャミール・カルファン氏は、Microsoftが今年仮想化ベンダーKidaroを買収した際に獲得した技術の一部もデモした。それには仮想PCの作成やアプリケーション機能のストリーミングが含まれ、これらは来年リリースのMicrosoftの「Desktop Optimization Pack」に搭載されるとカルファン氏は言う。
またマグリア氏は、MicrosoftがExchangeなどの製品を皮切りに、従来のオンプレミス型ソフトをオンラインの世界に提供するためにしてきた取り組みも取り上げた。「オンラインサービスは当社が提供したい選択肢だ」
さらにMicrosoft担当者は、サービス環境を自動的に企業のオンプレミスソフトと同期化する「Direct Resynchronization」機能をデモした。この機能は同期化の責務をIT専門家から引き受け、そのプロセスをエンドユーザーから見えないようにするという。
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