Microsoftがポッドキャスティングソフトウェアをオープンソースにボストンで「Enterprise 2.0」開催

MicrosoftはSharePoint用ポッドキャスティングソフトウェアのコードをオープンソースコミュニティーに提供する。

» 2008年06月11日 14時50分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 自社のコラボレーションソフトウェア、SharePointの成功をさらに拡大することを狙うMicrosoftは、「PKS」(Podcasting Kit for SharePoint)を発表した。これはオープンソースソフトウェアで、ユーザーが公衆Webおよびイントラネット上でビデオやオーディオのプレゼンテーションを記録、共有することを可能にする。

 Microsoftはボストンで6月9日に開幕した「Enterprise 2.0」において、同社のオープンソースコミュニティーであるCodePlexを通じてPKSを発表した。このプログラムは6月10日、FedEx、Google、Socialtextなどの企業によるプレゼンテーションに合わせて本格的に立ち上げられる。

 企業では、社内ニュースの配信、新規従業員のオリエンテーションの実施、職業訓練やe-ラーニングの充実といった目的でポッドキャスティング技術を利用している。

 Microsoft SharePointのディレクター、ロブ・カリー氏はeWEEKの取材に対し、「Microsoftの販売部門はこの1年間にわたってPKSを社内に配備し、PC、Windows Mobileデバイス、Zuneなどのポッドキャスト対応デバイス上でオーディオやビデオのポッドキャストにアクセスしている」と語った。

 コンサルティング大手のAccentureは、クライアントのBT GroupとともにPKSの試験利用プログラムに参加し、Web 2.0ベースのラーニングソフトやコラボレーションソフトを提供した。そのほかにも約50社の企業が、TAP(Technology Adoption Program)を通じてPKSのテストを行っている。

 PKSの機能は充実している。ユーザーは統合型IM(インスタントメッセージング)プログラムを通じてポッドキャスターに接続できるほか、レーティングシステム、タグクラウド、ポッドキャストコンテンツ用の検索機能などを利用することができる。また、フィードに登録してポッドキャストの更新を自動で受信したり、Silverlightとプログレッシブ再生機能を使ってポッドキャストをリアルタイムで再生したりすることも可能だ。

 PKSの将来バージョンに含まれる可能性がある機能は、リッチWindowsモバイルクライアント、Vista上で動作する3Dユーザーインタフェース、クロスOS対応ポッドキャスティングクライアント(Zuneソフトウェアを含む)、ビデオ/オーディオのキャプチャと編集機能、ピアツーピア方式によるメディアの再生とダウンロード、Windows Live IDおよびWindows Live Messengerとの連携、Silverlightに加えFlashとの互換性などだ。

なぜポッドキャスティングなのか、なぜSharePointなのか

 MicrosoftがSharePointなどのコラボレーションプラットフォームにポッドキャスティングツールを追加するというのは、極めて理にかなったことである。しかしSharePointをライセンスしているユーザーには既に無償で提供されているツールをオープンソース化することで何が得られるのだろうか。

 カリー氏によると、PKSはe-ラーニングを始めたいと考えている企業にとって素晴らしい手段であり、CodePlexを通じてオープンソースとして提供されるSharePointプラットフォーム用のツールは100種類を超えるという。

 もちろんMicrosoftは、SharePointの一部をフリーウェアにする余裕はある。同社はOffice SharePoint Server 2007のライセンスを1億本販売し、その年間売り上げは10億ドルに上る。

 PKSの発表に合わせて、SharePointの大成功に便乗したいと考える新興小規模企業各社とMicrosoftが結んだ多数の提携も発表される。SharePointはソーシャルコンピューティング、ブログ、Wiki、RSS、マッシュアップ用のツールのほか、エンタープライズコンテンツ管理や検索機能を提供する。SharePointと競合するツールとしては、Lotus Notes and DominoやGoogle Appsなどがある。

 SharePointプラットフォームと何らかの形で連携を実現しようとしているベンダーは、Awareness、Atlassian、WorkLight、NewsGator、Leverage Software、BlueKiwi Software、Connectbeam、Telligent Systems、Tomoyeなど。

 これらのベンダーの多くは、今週のEnterprise 2.0ショウに参加する。各社ともエンタープライズソーシャルコンピューティング市場に狙いを定めている。Forrester Researchによると、同市場の規模は2008年の7億6400万ドルから2013年には46億ドルに拡大する見込みだ。

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