「夜食は太る」の科学ビジネスマンの不死身力(2/2 ページ)

» 2008年06月15日 13時14分 公開
[吉岡享子,ITmedia]
前のページへ 1|2       

デキるサラリーマンに朝食は欠かせない

 夕食の時間が遅い人ほど、朝は食欲がわかないため、朝食をとらないようです。「前夜に食べたものがまだ胃の中に残っているせいで、おなかがすかない」というイメージがありますが、実はそうではないのです。

 というのも、食べものは4時間程度でほとんど消化されてしまうため、前夜の食事が、朝の食欲に影響することは、ほとんどありません。これも体内時計が狂っていることが原因と考えられます。体内時計は、脳にある「中枢時計」と内臓などにある「末梢時計」とに分類され、中枢時計が末梢時計を制御する仕組みになっています。体内時計は、実は24時間ではなく、25時間周期で動いています。

 中枢時計は光を浴びることで、それを日周リズムの24時間に修正しています。一方、末梢時計は、光ではなく3度の食事によってリズムを整えています。

 つまり、きちんと早起きして日光を浴びたとしても、朝食を食べないと、この2つの時計のリズムがずれてしまいます。すると、頭が起きても、内臓が働かないため、消化器が活動を始めず、食欲がわかないのです。

 中には「朝食を食べる方が体調が悪い」「ダイエットのためにわざと朝食を抜いている」などと言う人がいますが、むしろ逆効果といえるでしょう。朝食を抜くと、内臓から活動に必要なエネルギーを出すことができないため、運動能力が下がり、肥満につながるということが、まず1ついえます。さらに、朝食をとらない人ほど、昼食時、夕食時の血糖の上昇が急になる傾向があります。

 血糖値が急激に上がると、健康な人ならば、インスリンという物質が出てきます。このインスリンがブドウ糖を脂肪に変えることで血糖値を下げるため、結果として肥満に結びついてしまうのです。また、人に対してキレやすくなったり、交通事故などを起こしやすくなったりということも、さまざまな実験で証明されています。朝食を抜いていいことなど1つもありません。

 逆に、きちんと食べれば、体力増加、コレステロール値・血糖値の低下など、さまざまな効能を体にもたらすことができます。仕事においては、朝から脳に血糖が充分に行き渡ることで、単純なルーティンワークはもちろんのこと、企画を思いついたりといった独創力もアップするといわれています。

 このように、「何を食べるか」と同じくらい「いつ食べるか」も実は重要なこと。「深夜の食事を避け、朝日を浴びて、きちんと朝食を食べる」。こんな当たり前のことを守るだけでも、肥満を防ぎ、仕事の能率を上げることができるのです。

過去のニュース一覧はこちら

著者プロフィール:吉岡享子

料理系雑誌の編集者。食や栄養に関するテーマを中心に記事を書いている。趣味は料理だが、実はかなりの偏食傾向あり。「紺屋の白袴」とはまさにこのことか。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ