デスクトップも2.0時代へ、シトリックスが包括的な仮想化ソリューションを発表デスクトップの仮想化でグリーンIT

ハードウェアやOSを仮想化してデータセンターに集約、オンデマンドで必要なWindowsデスクトップ環境を瞬時に用意できるXenDesktopは、情報システムの仮想化を全社規模に拡大するものだ。IT部門は、単一のOSイメージを管理すればよく、また、ストレージも大幅に節約できる。グリーンITも実現できる一石二鳥だ。

» 2008年06月24日 09時37分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「CPUやメモリ、ハードディスク、OS……、これらを物理的に手元に置いておく理由はもはやない。ユーザーが使いたいのはアプリケーション。それも雲(クラウド)の向こうでだれかがすべてを管理してほしいと彼らは考えている」と話すのは、シトリックス・システムズ・ジャパンの大古俊輔社長。同社は6月23日、「Citrix XenDesktop 2.0」を製品ラインに追加し、仮想化ソリューションをデスクトップまで拡大した。

「仮想化の議論で欠けていたのがデスクトップ。シトリックスの価値はそこにある」と大古社長

 XenDesktopは、同社が2006年12月に買収したArdenceの技術をベースとしたデスクトップ仮想化製品。必要なときに必要とされる設定のWindows環境(Windows XPおよびVista)を瞬時にプロビジョニングする技術やネットワークブート技術が核となる。

 この日、最新バージョンが発表された「Citrix XenServer」上で稼働する仮想マシンはもちろんのこと、エンジニアやトレーダーのように高性能なワークステーションを必要とするユーザーのために、ブレードPCのような物理マシンにもデスクトップ環境をプロビジョニングできるのが大きな特徴。依然としてタスクワーカーやモバイルワーカーには適しているCitrix XenAppによる「アプリケーションの仮想化」と組み合わせることで、企業内のさまざまなニーズに応えられる包括的な仮想化ソリューションとなる。

 1990年代からXenApp(旧Citrix Presentation Server)によってアプリケーションの仮想化をリードしてきたシトリックスだが、標準化されたWindows Server環境でアプリケーションを稼働させるため、ユーザー個人の自由度に制約があるほか、やはりアプリケーションの互換性をテストしなければならないなど、企業での広範な導入は難しかった。XenDesktopは、こうした2つのハードルをクリアし、全社的な情報システムの仮想化に道を開くものだ。

 大古氏は、「大企業ともなれば、たくさんのアプリケーションがあり、その互換性検証が大きな障害だったが、デスクトップを仮想化すれば、そのままデータセンターに集約できる」とし、一部のアプリケーションのサーバ集約にとどまっていた情報システムの仮想化が、XenDesktopによって企業全体に広がると期待する。

 「日本市場でも引き合いの大半は大企業だ」と大古氏。

仮想デスクトップでグリーンIT

 オフィスのデスクトップで稼働していたサービスをデータセンターで効率良く管理する機能もXenDesktopの大きな特徴だ。

 XenDesktopでは、プロビジョニングの際にユーザーごとのプロファイルを読み込み、Windows OSのマスターイメージから個別の仮想デスクトップ環境を仮想マシンや物理マシンに用意する。このためIT部門は、単一のマスターイメージだけをメンテナンスすればよく、1台ずつ管理するよりも手間やストレージを大幅に削減できる。シトリックスでは、管理コストを最大40%削減できるとみている。

 既に触れたが、併せて発表されたXenServer 4.1も、仮想化のオーバーを大幅に抑えたほか、旧Ardenceのプロビジョニング機能を応用する。これにより最上位のPlatinum Editionでは、仮想デスクトップと同様、仮想サーバと物理サーバの区別なく、OSとアプリケーション(ワークロード)をオンデマンドでプロビジョニングできる。これまでピーク時に合わせて個別のサーバを構築してきた企業のデータセンターだが、オフピーク時に合わせ、必要に応じて拡張することでIT投資の最適化が図れるほか、災害復旧や事業継続性のソリューションとしても有効だ。

 価格は、Citrix XenDesktop 2.0が7万2250円(5デスクトップ)から、Citrix XenServer 4.1はサーバ当たり15万3000円からとなっている。

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