データベースセキュリティ分野に買収ブーム到来の兆しFortinetがIPLocksの技術を獲得

FortinetによるIPLocksのデータベースセキュリティ技術の獲得は、同分野での買収活発化を予感させるものだ。

» 2008年06月25日 11時44分 公開
[Brian Prince,eWEEK]
eWEEK

 Fortinetが6月17日にIPLocksの技術を獲得したとき、この動きはデータベースセキュリティをめぐる買収の活発化の予兆ではないかとみられた。この見方が当たっているかどうか結論はまだ出ていないが、Forrester Researchのアナリスト、ノエル・ユーハンナ氏によると、データベースセキュリティ市場が拡大していることは確かだ。

 「データベースは銀行のようなものだ。企業の資産を保管しているのだ。そして最近まで、多くの企業はDBMS(データベース管理システム)が安全なものだと決めてかかっていたが、セキュリティ事件が相次ぐ今日、もはや安全とはいえない」と同氏は指摘する。

 こういった状況の中、データベースセキュリティ技術をめぐる買収が次第に日常化する可能性がある。そういった動きは、既に幾つかみられる。IBMは昨年、Consulとそのデータ監査技術の買収を完了し、Cisco Systemsは2006年、データベースセキュリティを専門とするGuardiumに約630万ドル出資した。

 「現在、データベースセキュリティ製品を提供していないCAやBMCといった従来のDBMSツールベンダーは、短期的に買収を目指すだろう。また、市場の再編が進むのに伴い、大手セキュリティベンダーもいずれ、データベースセキュリティ製品によって自社の製品スタックを拡大しようとする可能性が高い」とユーハンナ氏は話す。

 WebベースのSQLインジェクション攻撃の増加が注目を集める昨今、Webアプリケーションとデータベースセキュリティを結合するための買収は、一部の企業にとって魅力的な選択肢かもしれない。ユーハンナ氏の意見では、この分野で買収候補となりそうなのが、Guardium、Imperva、Protegrity、Tizor、Application Securityといった企業だ。

 Fortinetは、IPLocksからデータベース監視/監査ツールに関するライセンスと同様に、脆弱性評価ツールやソースコード、およびそれらに関する資産を獲得した。とはいえ、中堅中小企業市場向けにUTM(統合脅威管理)デバイスを販売するのを本業とするFortinetのこのような動きは、奇妙な取り合わせのように思える。

 Fortinetの製品担当副社長、アンソニー・ジェームズ氏によると、同社にはネットワークセキュリティからデータベースアプリケーションセキュリティの分野へと事業を拡大するチャンスがあるという。

 「IPLocksの脆弱性評価ツールをFortiGateに統合するなど、われわれはさまざまな統合の可能性を積極的に追求しているが、詳細な戦略はまだ策定中だ。短期的には、脆弱性評価ツールを利用してアプライアンスベースの製品ラインを開発する予定だ。これは製品の配備を簡素化することにより、総合保有コストの削減を可能にする」とジェームズ氏は語る。

 Fortinetでは、同分野の技術獲得を弾みとして競争相手を追い抜き、データセンター分野への進出に拍車がかかることを期待している。「多くの競合企業は依然としてネットワークセキュリティにフォーカスしているが、サイバー犯罪者たちは金銭獲得を目的として、より高度なアプリケーション資産(データベース)に対する攻撃へと移行しつつある。IPLocksの技術の獲得は、こういった新種の攻撃から企業を防御するFortinetの能力をさらに拡大するものだ」(ジェームズ氏)

 IPLocksは、DAM(Database Activity Monitoring)技術も推進していた。これは、データベース内で起きていることを把握する上で重要な技術である。しかしアナリストのエリック・オグレン氏は、同技術がFortinetのポートフォリオに適合するかどうかは疑問だとしている。「DAMは、アプリケーショントランザクション、ならびにWebとファイルの利用に対する総合的な技術監査機能の一部にすぎない」とThe Ogren Groupの創業者であるオグレン氏は語る。

 「ほかの業務分野では監査は標準的な運用手続きであり、技術分野ではその点が大幅に立ち後れている。DAMはデータベースセキュリティと混同されがちだが、実際には攻撃や不適切なアクセスの防止とはあまり関係がない」(同氏)

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