ビル・ゲイツ、去る――1つの時代に幕(3/7 ページ)

» 2008年06月30日 05時29分 公開
[Stan Gibson,eWEEK]
eWEEK

新たな情報経済

 ゲイツ氏はWindowsとともに、「Word」「Excel」「PowerPoint」をバンドルした独自のアプリケーションスイート「Office」の普及を図った。MITのブリンジョルフソン氏によれば、こうした戦略が、新たな情報経済界におけるMicrosoftの成功の礎になったという。

 一からプログラミングを行わなければならないため、ソフトウェアの初版の開発には金が掛かるが、それ以降は制作費がぐんと下がる。また、多くの製品をまとめればまとめるほど、ベンダーが得られる利幅は大きくなる。Microsoftのアプリケーションにはしばしば当てはまることだが、1つ1つの製品が突出してすぐれているわけではない場合、この戦略が特に威力を発揮するのだ。

 「平均的な製品を個別に販売しても、それほど大きなマーケットシェアは獲得できないが、複数をひとまとめにすると、ユーザーにとって魅力的な商品が出来上がる。ゲイツ氏は、こうした戦略をうまく使った。より性能の良い新製品が登場しても、大半のユーザーはバンドル製品の方を好むため、Microsoft Officeが選ばれることになるのだ」(ブリンジョルフソン氏)

 このモデルが功を奏せば、マーケットシェアは伸び、利幅も拡大する。「ちょうどMcDonaldのバリューセットのようなもの」と、ブリンジョルフソン氏は説明した。

 「機能や特徴を調整すれば、Microsoftの製品は競合製品よりずっと安価に購入できるのが常だ。ゲイツ氏の最大の功績は、こうした新しい情報経済を深く理解していたところにあると思う。Microsoftのライバル企業は、この点に気がつかなかった」(ブリンジョルフソン氏)

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