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社会インフラの省エネを目指す「日本発のグリーンIT」経産省参事官が語る

福田総理や甘利経済産業大臣も講演の中で言及するなど、政府もグリーンITの重要性を認識しているという。

» 2008年07月02日 23時05分 公開
[石森将文,ITmedia]

日本発のグリーンIT

経済産業省 商務情報政策局 星野岳穂参事官

 7月2日にインテルが開催した「グリーンITセミナー」では、同社のエコに対する取り組みがあらためて紹介されるとともに、ゲストスピーカーとして経済産業省 星野岳穂参事官が登壇。「日本発のグリーンIT」を推進する方針について語った。

 「民生部門のエネルギー削減を考えた場合、特にIT機器は無視できない。福田総理、甘利経済産業大臣もぞれぞれ講演の中でグリーンITの重要性に言及している」と星野氏は話す。

 星野氏は、政府がグリーンITを重視する根拠として今年3月に公開した「エネルギー起源CO2排出量見通し」を挙げる。その予測に従えば、徹底的な対策を図る「最大導入ケース」の場合、業務・家庭部門のエネルギー消費はピークアウトする(CO2排出量水準でいえば、2005年度より22%下回る)という。「最大導入ケースの実現を左右するのはグリーンITだと考えている」(星野氏)

 そもそも、現状のペースでIT機器による消費電力量が増大していくと、2025年には現在の約5倍に至る恐れがあるという。これは2400億kWhという数値であり、国内総発電量の約20%をIT機器が消費する計算だ。国外に目を移すと、BRICsなど新興国では先進国以上の速度でIT機器市場が拡大しているため、消費電力量は2025年に9.4倍となり、世界の総発電量のうち約15%を占めことになる(グリーンIT推進協議会による試算)。これは電力の安定供給という面から考えても、大きな問題になると考えられる。

 星野氏はこれまで議論されてきたグリーンITの考え方を「IT機器の省エネに主眼を置いたもの」と断じる。それに対し、ITを活用しつつ社会(地域やインフラ全体)の省エネを図ることが重要だと述べ、「そこでは日本の優れた省エネ技術が生きる」(星野氏)とした。

 IT機器の活用による社会の省エネを進めた場合、削減された消費電力量がIT機器自体の消費電力量を上回る見通しとなり、試算では2025年に約5900kWh相当の省エネが可能だとされる。「温暖化問題を解決する大きな鍵になる。IT機器を活用した社会の省エネを日本発のグリーンITとして推進していく」(星野氏)。

最大導入ケースを達成した場合はCO2排出量は1990年の水準を下回る(写真=左)、世界全体で電力消費量の伸びを見ると新興国での増大が深刻(写真=中)、「日本発のグリーンIT」は温暖化解決の大きな鍵に(写真=右)

 星野氏は「知り合いの企業経営者に聞いたこと」と断った上で、次のような話を紹介した。「会計基準が厳しくなった現在、企業では経費や交際費について厳密に監査されるが、消費電力についてはこの限りではない。しかし近い将来、いつ、誰が、何のために電力を消費したのか、管理されることになるだろう」。

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