バックアップで満足せずリカバリまで考えるWindows Server環境バックアップ実践 [リカバリ編](2/5 ページ)

» 2008年07月07日 08時00分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

システム全体を保護する方法

 最近では、システム全体を保護するツールが、各種提供されている。ハードディスクのイメージを丸ごとコピーするといった機能がそれだ。サーバOS本体が格納されている起動ディスクを丸ごとコピーしておき、トラブルが発生したときにそれを新たなシステムに戻す。サーバハードウェアの中で、故障する可能性が高い部品はハードディスクだろう。利用を始めてからそれほど時間が経過していないのにもかかわらず、ディスクエラーでOSが立ち上がらなくなることもある。ハードディスクを交換すればサーバのハードウェアとしては元に戻るが、ソフトウェアは工場出荷状態に戻ってしまう。このときに、起動ディスクまるごとのイメージがあれば、それを初期状態のサーバに戻すことでシステムを使っていた状態に素早く復旧できる。

 そんなに便利ならば、すぐにディスクイメージをコピーするツールを購入しようと考えるかもしれない。しかし、いくつか注意が必要だ。通常、起動ディスクを丸ごとコピーするには、システムを停止し作業を行う。さらに、コピーするディスク容量が大きければ、コピー作業にはそれなりな時間が必要だ。24時間連続稼働しているシステムでは、長時間システムを停止し、この丸ごとコピー作業の時間を確保できるか考えておく必要がある。

 さらに、通常はコピーした起動ディスクのイメージは、同じハードウェアにしか戻せない。ハードディスクが壊れたならばそれを交換し、イメージを同じハードウェアに戻すことができるだろう。しかし、電源やCPU、マザーボードなどが故障し、別のハードウェアしか用意できない場合もある。保存してあった起動ディスクのイメージを、この新しいハードウェアにコピーしても大抵はうまく起動しない。

 デバイスドライバなどはハードウェア固有のものが必要であり、それらをすべて新しいハードウェアに対応したものと入れ替えなければならないのだ。適切なディスプレイドライバがなく画面が表示されなかったり、Eternetカードのドライバがなくネットワーク接続できなかったりする。そこからサーバが正常に動くようにするには、かなり苦労するだろう。

 単純にディスクイメージをコピーするツールを入手し安心していると、トラブルが発生しいざ復旧しようとしてもうまくいかず、結局はOSのインストールからやり直すということになりかねない。同じハードウェアスペックのマシンをバックアップ用に用意しておく方法もあるが、マシンの進化が速いこの時代、その方法はかなりもったいない。

 今回、これらの課題を解決するシステム全体のバックアップツールとして選んだのが、Symantec Backup Exec System Recovery 8だ。このツールの特長は起動ディスクの丸ごとコピーを行っている際にもシステムを停止する必要がないこと、そして同一のハードウェアでなくても復旧できるという点が挙げられる。これにより、ハードウェアが故障しても、スペックの異なる代替え機があれば、すぐにシステムを復旧できる。

 この異なるハードウェアに復旧できる機能は、極めて有効だ。トラブル時にすぐに用意できるマシンに、とりあえず復旧できる。さらに、仮想化サーバにも対応しているので、一時的に仮想化マシンを切り出しそこにシステムを復旧しておき、マシンの修理が終わってから改めて本格的なシステム復旧を行うことも可能だろう。

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