携帯Web分野でも世界から無視される日本Next Wave(1/3 ページ)

世界中に瞬く間に普及した携帯電話。その市場規模は携帯電話のWeb活用の進展でさらに大きく広がろうとしている。これに対して日本企業はかつての小型家電での栄光を取り戻せるのだろうか。

» 2008年07月17日 13時49分 公開
[幾留浩一郎,ITmedia]

小児麻痺ワクチンよりも早い普及スピード

 今年は携帯電話が実用化されて26年目、すでに世界中に33億台が普及しているそうだ。世界中の人口は66億人なので、台数では世界中の2人に1人が利用していることになる。普及スピードでは小児麻痺ワクチンよりも早く、人類の歴史上、これほど急速に世界中に広まった技術は他には例がないそうである。CTIAの調査を見てみても、米国での携帯電話の利用者数は過去10年強で急速に普及しており、日本や欧州でも似たような傾向がある。

 しかしその利用機能は、世界ではまだまだ、音声通話とSMSが主体である。それ以外の機能はあまり利用されていない。例えば米国と欧州での携帯電話の音声以外の機能の利用率に関するモバイル調査会社M:Metricsの2006年の調査データをみても、SMS(テキストメッセージ)とかMMS(写真などを添付したメッセージ)以外はほとんど利用されていない。

 携帯Webもまだ利用率が低く、ニュース記事を閲覧するといった内容に限定されていることが多いようだ。類似の統計でも、米国は2006年時点で携帯の約4割はすでに携帯Webの機能は備えているのに、実際の利用率は7%とかなり低い。私自身も米国内ではWeb機能も付いた携帯電話を利用しているが、たまに頑張って使おうとしてもデータ通信速度が遅くまるで使えないので、この低い利用率は実感としてよく分かるし、多分これまでは米国で携帯Webを日常的に使っている利用者はほとんどいなかったと思う。

携帯Webは当たり前の日本

 一方日本では、携帯Webはすでに当たり前のことになっている。インプレスR&Dによれば、日本では2005年時点ですでに、Webを利用するのに、携帯の利用者数が6923万人とPCからの利用者6601万人を超えている。モバイル社会研究所の2007年のリポートでも、日本の携帯電話利用者の65%が携帯Webを日常的に利用している。音声以外では、Eメールの93%、カメラ機能の74%に次いでよく利用されている機能となっている。

 実際に日本では、携帯Webでお天気情報から証券取引まで実に幅広いコンテンツやサービスが非常に便利に利用できる。さらにバーコードリーダーで新聞や雑誌などの印刷物と連動したサービスあり、ワンセグでTV放送と携帯を融合したサービスあり、それに小額決済のお財布機能なども実用的に発達している。オンライン世界だけに留まらず、実世界との連携した機能やサービスが実用レベルで発達し始めている。また携帯SNSで書いた小説がヒットし映画になるなど全く新しい分野も創造されている。

 つまり、日本は今、携帯Webの分野で技術的にも利用方法も、それに普及率にしても、間違いなく世界の最先端を走っているのである。フォレスターなどの調査会社も最近のリポートで携帯Webは日本が世界をリードしていると報告している。

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