オープンソースデータベースのMySQLとPostgreSQLの普及が拡大商用DBをリプレースするか(1/2 ページ)

オープンソースデータベースのMySQLとPostgreSQLが勢いづいているが、Oracle Database、IBM DB2、Microsoft SQL Serverなどの商用データベースをリプレースするケースはまだ少ないようだ。

» 2008年07月23日 08時51分 公開
[Brian Prince,eWEEK]
eWEEK

 オープンソースデータベース市場が相変わらず好調で、勢いが衰える気配はなさそうだ。

 Forrester Researchの最近の市場調査報告では、オープンソースデータベース市場の規模(ソフトウェアライセンス、技術サポート、サービスを含む)は8億5000万ドルと推定している。報告書によると、この数字は2010年までに12億ドルに達する見通しだとしている。その背景には、Web 2.0アプリケーションをはじめとするワークロードをサポートする手段として、企業がオープンソースデータベースに注目していることがある。

 特に興味深いのは、オープンソースデータベース市場が拡大しているものの、多くの企業では、プロプライエタリデータベースをオープンソース技術でリプレースするのを急いではいないという点だ。その理由の1つとして、ミッションクリティカルなアプリケーションに関しては、企業はオープンソースデータベースの採用に慎重だということがある。The 451 Groupの最近の調査によると、一般に企業がオープンソースを採用するのは、特定の利用分野(開発環境やテスト環境など)における新規プロジェクトに際して、プロプライエタリベンダーからデータベースをライセンスするのに伴う追加費用の発生を避けるためだとしている。

 Forresterの報告書の作成者の1人であるノエル・ユーハンナ氏によると、移行に伴うコストや労力なども、既存データベースの置き換えが進まない理由だという。

 「企業は商用データベースをお払い箱にしてオープンソースにリプレースしたいと思っているのだが、これは技術的に容易なことではなく、すんなりとはいかない」とユーハンナ氏は指摘する。

「どんなDBMS(データベース管理システム)でも、SQL拡張機能、連携、APIなど独自仕様の要素が含まれているため、移行は非常に複雑な作業になる。異なるDBMS間での移行を自動化するのを支援するソリューションも存在するが、100%自動化できるわけではなく、80〜85%くらいのものだ。残りは手作業でやらなければならない」

 Sun Microsystemsのデータベース部門の製品担当副社長、ザック・アーロッカー氏が4月にeWEEKの取材で語ったところによると、同社では、伝統的なクライアント/サーバ型データベースの置き換えを狙うよりも、MySQLがオンラインアプリケーションのデータベースとしてナンバーワンの地位を獲得するのに注力するという。

 「われわれは今後も、Webインフラや通信などの成長分野を基盤とする大規模なWeb 2.0アプリケーションにフォーカスする」とアーロッカー氏は電子メールで述べている。

 The 451 Groupのアナリスト、マット・アスレット氏によると、商用データベースの置き換えプロジェクトが非常に少ないという現状を考えれば、オープンソースベンダー各社が移行技術の改善よりも新規導入に狙いを定めて投資しているのも意外なことではないという。

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