ヒトモノカネから「3つのP」へ――ITSMの新資源ITIL Managerの視点から(2/3 ページ)

» 2008年07月24日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

3つのPという要素

 これからのITサービスマネジメントに欠かせない「3つのP」と呼ばれる考え方がある。従来、会社を動かすための資源は「ヒト、モノ、カネ」だと言われてきた。この3つの資源をどのように扱うかということが重要であった。しかしITサービスマネジメントを成熟に導くために必要な資源は、これとは少し異なる。それが次の「3つのP」である。

  • Process(プロセス、手順)
  • Product(プロダクト、ツール)
  • PeopleまたはPerson(組織、ヒトそのもの)

 この3つがバランスよく成熟しないと、ITサービスマネジメントはうまく回らない、というのだ。確かにヒト、モノ、カネだけの視点では、ITサービスマネジメントはただの「システム管理」に終わってしまうだろう。ITは企業や組織、社会にサービスを提供しているのだ、という考え方に昇華していかないと、ITサービスマネジメントの未来はないような気がする。それにしても、ITの世界でもPeople、つまりヒトが重要だと述べていることは興味深い。結局、ヒトありきの状況は変わらないのだ。

ここで余談を1つ。先日会ったある経営コンサルティング会社の社長が言うには、「仕事には属人的な部分をある程度残しておいたほうが効率的」なのだという。プロセスばかりを重視して「だれが対応しても常に均一なサービスが提供できる」ということを目指すと結果的にはうまくいかなくなる。少しは属人的な部分を残しておいたほうが、最終的にはユーザー満足度の高いサービスを提供できるというのが、経験に基づく彼の持論らしい。「あのヒトがいないと何にも分からない」のは良くないのだろうが、「あのヒトがいないとこの部分が進まない」というのはあったほうが良い、ということなのだろう。


 さて、これにもう1つのPを加えて「4つのP」が大切だ、という人もいる。4つめのPに何を持ってくるかは、様々な意見があるようだが、ITIL的にはPolicy、言い換えれば会社の文化、カルチャーが非常に重要だ。3つのPのバランスを、会社の文化といった側面も視野にいれて考えていかなければならないということなのだろう。

 さて、ここには従来のコスト(お金)が含まれていないことに注目して欲しい。筆者なりの解釈は、コストというとどうしても削減、節約というイメージがつきまとうからではないかと考えている。後に述べるが、コストは削減すべきものではなく、最適化すべきものなのだから。

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