Microsoftのオープンソース計画本格的な取り組みへ(1/2 ページ)

MicrosoftはApache Software Foundationの主要スポンサーになった。さらに同社は、プロトコルとフォーマットをロイヤルティフリーのライセンスで提供している。これらは同社の本格的なオープンソース戦略推進の一環である。

» 2008年07月28日 16時12分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは今年も、オレゴン州ポートランドで開催されたO'Reilly Open Source Conventionにおいて、各種オープンソースイニシアティブへの参加に関する重要な発表を行った。

 Microsoftは昨年、OSI(Open Source Initiative)の承認を得るために同団体にライセンスを提出したと発表した。そして同社は今年、Apache Software Foundation(ASF)のスポンサーになるなど、3つの分野での動きを明らかにした

 Microsoftのプラットフォーム戦略担当シニアディレクター、サム・ラムジー氏は7月25日、同カンファレンスでキーノートスピーチを行い、MicrosoftがApache Software FoundationのPlatinumスポンサーになったことを明らかにした。ラムジー氏は、オープンソースコミュニティーとの協力の拡大に向けた2つの戦略的な展開についても語った。

 ASFのWebサイトによると、Apacheスポンサーシップには4つのレベルがあり、Platinumは最高レベルに位置する。Platinumスポンサーの要件は年間10万ドルの寄付である。残りの3つのレベルは、Goldが4万ドル、Silverが2万ドル、Bronzeが5000ドルとなっている。Microsoftは金の力でオープンソースの世界に進出しようとしているのではないかとみる向きもあるかもしれない。

 ASFのディレクター、ガイアー・マグナッソン氏がeWEEKに語ったところによると、ASFではMicrosoftの参加を歓迎しているようだ。しかしApacheスポンサーからの収入は、主として組織の運営費に充てられるという。

 「Apache Software Foundationでは、個人が唯一の実体であり、法人メンバーというものは存在しない。当組織の活動に参加する唯一の形態は個人としての参加であり、これは寄付ではなくプロジェクトへの貢献が基本となる」と同氏は話す。

 ラムジー氏によると、MicrosoftのサポートおよびASFとの協力計画は、Eclipse Foundationに対する同社の協力とは異なるものだという。

 「Eclipse Foundationの場合、われわれは現在、技術サポートで協力している。パッチやコードを提供するのではなく、質問に答えるという形で協力しているのだ。具体的には、WTF(Eclipse Web Tools Framework)用のSWT(Standard Widget Toolkit)のインプリメンテーションのバグのトラブルシューティングを手伝っている。つまり、これは技術的な関係であり、FirefoxをめぐるわれわれとMozillaとの関係と非常によく似ている。彼らがバグを発見すれば、われわれはその修正を手伝う」とラムジー氏は話す。

 ラムジー氏によると、MicrosoftではWindowsの新リリースを投入する際に、同社は主要ISV(独立系ソフトウェアベンダー)パートナー各社に新リリースが近く登場することを知らせることにより、多数のISVを取り込むようにしているという。

 「わたしのグループのアプローチは、主要なオープンソースプロジェクトをISVと同じように扱い、同じレベルの支援を彼らに提供することによって次世代技術の採用の手助けをするというものだ。これがわたしの考える技術協力だ。Axis 2、Poi、JakartaといったASFの各種サブプロジェクトでも、この技術協力を続けるつもりだ。こういった貢献や直接的な提携は、実質的な資金協力であると同時に、彼らの取り組みをわれわれが高く評価していることを示すという意味で政治的な貢献でもある」(同氏)

 Microsoftのオープンソースプロジェクト「IronRuby」の責任者を務めるジョン・ラム氏は、MicrosoftとASFとの提携について、「協力関係のレベルが次第に高まっている」と話す。

 ラムジー氏によると、MicrosoftはOfficeのすべてのバイナリ仕様を含む多数のプロトコルとフォーマットを、永久にロイヤルティフリーのライセンスとして提供しているという。「これはApache Poiというプロジェクトとって極めて重要だ。PoiはApacheライセンスに基づくMicrosoftファイルフォーマットのJavaインプリメンテーションであり、Open XMLのサポートも含まれる予定だ」と同氏は話す。

 このロイヤルティフリーラインセンスは「OSP」(Open Specification Promise)と呼ばれる。

 ラムジー氏によると、Microsoftの3つの発表のもう1つは、GPL2(General Public Licenseバージョン2)ベースのプロジェクトに同社が初めてパッチを提出したことだ。Microsoftがパッチを提出したGPL2プロジェクトは「ADOdb」と呼ばれるもの。ADOdbはPHPプロジェクトの1つで、多数のPHPアプリケーションが利用するデータアクセスレイヤを提供するという。

 「われわれが2月にリリースしたWindows Server 2008には、高性能なPHPランタイムという形でPHPのサポートが当初から含まれていた。その後、SQL ServerチームはSQL Server用のPHPネイティブドライバを出荷した。これは従来のアクセス技術を大幅に改善するものである。そしてこれは、SQL Server技術セットをPHPアプリケーションスタック全体で利用できるようにするという取り組みの第一歩となるものだ」とラムジー氏は説明する。

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