ブレードサーバでグリーン&仮想化

ブレードのポジショニングから各サーバベンダーの思惑を読むグリーン&仮想化を支える(1/2 ページ)

コモディティ化が進みつつあるサーバ市場にあってブレードサーバは各社各様の“色”の違いを見て取れる興味深い製品だ。エンタープライズサーバ市場に対する戦略の違いが、製品の違いとして濃く反映されている。

» 2008年08月15日 08時00分 公開
[大神企画,ITmedia]

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省電力で差別化を狙うNEC、管理性を売りにする富士通

 エントリーサーバの高集積化を狙うところから誕生したブレードサーバだが、市場の動向とテクノロジーの進化によって、サーバベンダー各社はその製品のポジショニングを徐々に変化させてきた。現在は、どのサーバベンダーも、企業システムの中核を担うエンタープライズサーバという位置付けに落ち着きつつあるが、それでも製品戦略は微妙に異なっている。

 エントリーサーバの高集積化を狙うところから地道にブレードサーバの製品ラインアップを強化してきた代表的なベンダーとしてまず名前が挙がるのが、NECだ。NECは2002年1月、日本国内で最初にブレードサーバを製品化したベンダーである。多くのベンダーがミッドレンジクラスにラインアップを絞り込んだ後も、しばらくの間はエントリークラスの製品を提供し続け、省スペース・高密度というブレードサーバの特徴を生かす製品づくりのノウハウを蓄積してきた。そのノウハウは、2006年に新ブランド「SIGMABLADE」によってエンタープライズ分野のブレードサーバへと主軸を移してからも受け継がれている。とりわけ、ブレードを収納するシャーシ単位の電源制御、ファン冷却効率、電源変換効率の向上に積極的に取り組み、優れた省電力機能を実現した。この省電力という部分が、ラックマウント型サーバ、タワー型サーバとの差別化のポイントである。

 省スペース・省電力に加え、サーバの増設時間や復旧時間の短縮、ケーブル本数の削減によるメンテナンスの効率化という点でブレードサーバの特徴をアピールしているのは、富士通だ。選定、設置、導入の「かんたんさ」を売りにしており、そのために製品ラインアップを絞り込んでいることが、同社のユニークな点だ。

ラックマウントサーバの補完を目指すサン&デル

 ラックマウント型の延長線上にあって、省スペース・省電力を望む顧客企業に最適なソリューションを提供するためにブレードサーバをラインアップしているのが、サン・マイクロシステムズである。サンはブレードサーバを、コンピュータシステムのモジュール化という発想を具現化した製品だと位置付けている。そして1990年代に投入した「Sun Enterprise」ですでに実現できていたという自負もある。そのため、サーバの高集積化を目指した黎明期のブレードサーバ市場からは早々に撤退し、機が熟すのを静観してきた。そして、2007年に投入した「SunBlade」には、ラックマウント型サーバの特性を生かしつつ、省スペース・省電力を狙う製品というポジションを与えた。したがって、ブレードサーバ固有の特殊な機能を取り込まず、できる限りラックマウント型サーバと同等に扱えることに主眼が置かれている。

 サンの戦略と似ているのが、かつてのデルである。デルもラックマウント型サーバの省スペース・省電力を実現する1つのカタチとしてブレードサーバを位置付けていた。ブレードサーバは1製品のみのラインアップしかなく、大手サーバベンダーの中ではブレードサーバを軽視していたように見えた。しかし、2008年1月に発表した新世代の「PowerEdgeブレードサーバ」では、ブレードサーバ戦略を大きく転換。ラックマウント型サーバの省電力構成モデル「Energy Smart」の技術をベースに、ブレードサーバの設計を全面的に見直し、サーバ統合や仮想化のニーズに最適なプラットフォームとして仕上げてきた。

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